『続 近世畸人伝(二)』より
(2話)小川に落ちた時の話
近村の小川の橋を渡るとき、瓢水は足を踏みはずして、落ちてしまいました。
近くにいた農夫は、瓢水が小川に落ちたことを知り、びっくりして助け上げようとして大騒ぎになりました。
下を覗き込むと、腹が減っていたのか、彼は濡れながらも懐の餅を悠々と食べているのです。
農民はあきれたといいます。
(3話)蔵売って 日当たりのよき 牡丹かな
さらに、こんな話もあります。
瓢水が60歳も半ばの頃でした。
本宅が人手に渡ってしまって、別の家(別宅)に移り住んでいました。
別宅とはいうものの、ちょっとした庭に蔵があります。
そこには一面に牡丹の花が見事に咲いていました。
見事な大輪の牡丹です。
瓢水はそれ、それをぼんやり眺めていました。
「この蔵も売れてしまったか・・・」と、つぶやくのでした。
瓢水はあまり、それを気にする様子もありません。
やがて、一句が出来上がりました。
蔵売って 日当たりのよき 牡丹かな
瓢水には、上記のような話がいくつも伝えられています。
瓢水は、謎めいた俳人でした。(no3374)
*写真:牡丹の花
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