ひろかずのブログ

加古川市・高砂市・播磨町・稲美町地域の歴史探訪。
かつて、「加印地域」と呼ばれ、一つの文化圏・経済圏であった。

北条直正物語(20) 森岡県令 VS 北条郡長

2020-07-19 10:43:06 |  北条直正物語

        森岡県令 VS 北条郡長

 県の庁舎で郡区長会が行われた日、北条郡長は少し早めに上庁して県令に訴えました。以下は『赤い土』から県令と北条郡長のやり取りです。

 (森岡県令)

 県広しといえども地租の夫納は印南6ヵ村だけであり、大蔵省より厳しい督促をいただいておる。

 まことに申しわけないことである。

 今までの忍耐にも限度があり、もはやこれ以上の猶予は認められない。不納者を直ちに処分するように」

 (北条郡長)

 県令殿のご命令ではございますが、法の通り処分すれば、印南新村272町の畑地はことごとく公売になります。

 そうなれば、畑はすべてよそ者の所有となり、村がなくなってしまいます。

 (県令)

 たとえ亡村になろうとも、処分すべきである。

 (郡長)

 従いかねます。

 (県令)

 なに!おいの命令が聞けんとか!

 (郡長)

 ・・・租税官が地租改正で違法の税を課したため、人民はその負担にたえられず仕方なく不納になったのです・・・

 卑しくも官民の間に立ち、職を奉ずる者が民情をのべるのは当然ではありませんか。無理理非な重税を課して、不納となった者を処分するなど、そのような非理無法なことは絶対に行えません

 (県令)

 おはん!

 その日は押し問答でおわりました。

 あくる日、北条は、昨日の言葉のいき過ぎを佗に県庁を訪れました。

 県令も思うところがあってか、態度があらたまっていました。

 北条に次のような提案をするのでした。

 「租税官が改正法の施行に間違いがあったとしても今は祖額の改めようがない。

 村民には気のどくだが、完納してもらうしかない。そのかわり、山田川疎水の建設に努力しよう。

 県令が疎水を持ち出してきました。この機を逃せば疎水事業はできないかもしれない。

 でも、納税のめどは立たない。

 この時、ブドウ園建設計画という思いがけない話が飛び出してきました。(no5032)

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