樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

七里香と九里香

2010年03月18日 | 木と香り
ジンチョウゲがいい香りを漂わせる季節になりました。
この木のことを中国では「七里香」と呼ぶそうです。中国の1里は約500mらしいので7里はおよそ3.5km。日本の感覚より短いですが、それにしても「白髪三千丈」の国らしいネーミングです。


(散歩コースのジンチョウゲ)

さらにその上をいく「九里香」という木もあります。日本名は「キンモクセイ」。確かにあの香りは遠くまで漂ってきて、散歩していても目よりも先に鼻でその存在を知ることが多いです。それでも9里(約4.5km)は無理でしょう。
このジンチョウゲとキンモクセイにクチナシを加えて「三大芳香花」と呼ぶそうです。「ひょっとしてクチナシの中国名は五里香かな?」と思って調べましたが、香りとは関係のない名前でした。


(芳香剤の香りのモデルにされるキンモクセイ)

ジンチョウゲとキンモクセイには共通点がもう一つあって、日本では結実しません。いずれも雌雄別株の樹木ですが、中国から雄株だけが移入されたので子孫ができないそうです。せっかくあのいい香りで虫を呼び寄せても、雌株がないので受粉できないのです。
と言うことは、挿し木で殖やしているわけです。と言うことは、日本のキンモクセイやジンチョウゲはすべて同じ遺伝子を持つクローンということになります。ソメイヨシノと同じですね。
コメント (4)
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