樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ツバメの楽園

2009年06月22日 | 野鳥
京阪電車の宇治駅は超モダンな建物で、私鉄の駅として初めてグッドデザイン賞を受賞しました。設計は関西で有名な建築家・若林広幸氏。南海電車の特急ラピートも氏のデザインです。

       
                  (横から見た京阪宇治駅)
       
                    (駅内部の造形)

ラピートもそうですが、宇治駅も丸と直線を組み合わせたユニークな造形です。開口部がたくさんあって鳥も虫も自由に出入りできるので、今の時期はツバメがたくさん巣を造って繁殖に励んでいます。
前から気になっていたので、巣を詳しく観察してきました。駅舎内部にある巣は合計10個。その他に、落ちたのか駅の職員が落としたのか、巣の跡も4~5個ありました。
高い天井にくっついているのはコシアカツバメの巣。花瓶を半分に割ったような形で、泥の色でストライプ模様が描かれ、こちらもグッドデザイン賞もの。少し離れた場所では普通のツバメも営巣しています。

       
               (天井に造られたコシアカツバメの巣)
       
         (普通のツバメの巣。誰かが糞除けを作ってくれました)

10個すべてが現在使われているかどうかは確認していませんが、おもしろいことに、そのうちの1個をスズメが使っていました。スズメは草やワラで巣を作りますが、泥を固めたツバメの古巣でも繁殖するんですね。巣の中からは「チュルチュル・・・」とスズメのヒナの声が聞こえてきます。

       
            (ツバメの古巣を使うスズメ。ヒナは3羽)

駅の横には宇治川が流れているので巣材の泥には困らないし、餌になる虫もたくさん飛んでいるし、コンクリートの絶壁なので蛇や猫も寄ってこないし、宇治駅はツバメにとって楽園のような繁殖環境です。
ツバメやスズメに成り代わって若林さんにお礼を申し上げます。

※鳥の繁殖シーンは撮影しないのがマナーですが、ツバメの巣の場合は繁殖を阻害するとは思えないのでデジスコで撮影しました。
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4 コメント

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Unknown (guitarbird)
2009-06-23 19:47:45
こんにちは
私ももちろん鳥の繁殖の様子は撮影しないことにしています。
しかしツバメは人家など建物に営巣し人も普通に生活しているので、
あまりしつこくしなければ例外的に構わないのでは
と思っています。
それに、あれだけ近くに巣があるので、
たいていの人はどこまで大丈夫か感覚として
理解できて無理はしないとも思いますし。
ちなみに私は、庭に巣箱をかけたらコムクドリが
営巣したことがあったのですが、やはり撮影しませんでした。
2羽が巣立ったようでした。
それにしても素晴らしい駅ですね!
ますます宇治に行きたくなりました(笑)。
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宇治市は (fagus06)
2009-06-24 08:12:32
いわば京都市の衛星都市で、地味な町ですが、この駅は不似合いなほどモダンです(笑)。
駅の表は一応ターミナル広場になっていますが、裏手には茶畑が広がっています。
でも、この中途半端さが私は気に入ってます。
返信する
まさに! (guitarbird)
2009-06-25 08:17:56
こちらもふたたびお邪魔します
(記事を上げられる回数が減って逆に書き込み増えてますが・・・)
「この中途半端さが気に入っている」ということですが、そうですね、
それは「里山」とつながった考え方だな、それが日本らしさなのかな、
と思いました(違ったらごめんなさい)。
返信する
ありがとうございます (fagus06)
2009-06-25 09:12:45
記事更新の頻度は少なくしたんですが、おかげさまで、何故かアクセス数は増えています。ありがたいことです。
宇治市の人口は19万人。まず、この数字が中途半端でしょう? もうちょっとで20万人なのに(笑)。
里山とか自然に囲まれていることもそうですね。宇治川の少し上流に吊橋があるのですが、中心エリアから徒歩20分くらいの所に吊橋があるという中途半端さ(笑)。
都会か田舎かよく分らない、あいまいな町です。でも、宇治の町を歩いていると、大阪や京都にはないゆっくりした時間が流れていて、私のリズムには合っています。
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