樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

お山の杉の子

2007年10月22日 | 木と歌
私でさえウロ覚えなので若い人はご存知ないでしょうが、『お山の杉の子』という童謡があります。「昔々のその昔 椎の木林のすぐそばに 小さなお山があったとさ~」という歌詞です。
ハゲ山に植えられた杉の苗が成長し、やがて隣の椎の木よりも大きくなって、いろいろ役に立つようになるというストーリー。その5番は、以下のようになっています。
    ♪ 大きな杉は何になる お船の帆柱 はしご段 
     とんとん大工さん 建てる家 建てる家 
     本箱 お机 下駄 足駄 おいしいお弁当食べる箸 
     鉛筆 筆入れ そのほかに 楽しや まだまだ役に立つ
実際には下駄や鉛筆にはスギは使わないはずですが、木の用途に関心のある私には非常に面白い歌詞です。

      
     (最近、ホームセンターでも杉の板が売られるようになりました)

ところが、この歌詞は改変されたもので、昭和19年(つまり戦争中)に発表されたオリジナルでは、上の2行が以下のようになっていました。
    ♪ 大きな杉は何になる 兵隊さんを 運ぶ船 
     傷痍の勇士の 寝るお家 寝るお家
軍用船や軍人病院にスギを使うと歌っているのです。このほかにも軍国主義的な歌詞があったので、戦後になってサトウハチローが作り変えたのが現在の『お山の杉の子』だそうです。
日本の人工林の多くはスギで、オリジナルの歌詞にあるように、軍用資材として利用するために植林されたものもあるようです。
オリジナルの「お山の杉の子」はこちらで聴けます。
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 木でお菓子をつくる京の匠 | トップ | どんぐり銀行 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
童謡で動揺 (bulbul)
2007-10-22 22:06:50
 内容はともかく聞いてるとなんだか良い調子でうきうきしますね、戦前のが改変されていたなんてびっくりしましたよ、杉というと電信棒に多用されたと聞いたことがありますが...、
返信する
ダジャレコメント (fagus06)
2007-10-23 07:48:50
ありがとうございます。
私もこの話を知ったとき驚きました。童謡にも歴史があるもんだな、と思いました。
bulbulさんがおっしゃるように、スギは電信柱に多用されました。以前、どこかで書いた気もしますが、電柱用にスギの品種改良が行われたそうです。
成長が早く、腐りにくいスギだったかな?
今はほとんど見かけませんね、木の電信柱。
返信する
それがね、 (bulbul)
2007-10-23 14:40:19
 先日、桂川の探鳥会のあと嵐山で昼めし喰おうとS君と相棒の3人で歩いてると木の電柱があったんですよ、「えぇっさ、これ木やでぇ」あの感動はまだフレッシュです(笑)。
返信する
そうですか (fagus06)
2007-10-24 12:06:27
まだ木製の電柱がありましたか。懐かしいですね。
先日、私も嵐山に行きましたが、気が付きませんでした。今度、嵐山に行ったら注意して見てみます。
しかし、まだ木製電柱の在庫があるんですかね?
返信する
杉といえば・・・ (guitarbird)
2007-10-24 14:10:54
こんにちわ、guitarbirdです
その曲は、そんな曲があったよな・・・程度の記憶でした。
ところで、私は今、杉といえば、
秋田国体のマスコット「杉っち」が最初に浮かんできます。
私のBLOG仲間にはなぜか秋田で釣りをしている人が多くて、
そこでよく話題を見ていたので。
返信する
スギッチを (fagus06)
2007-10-25 10:00:45
秋田国体のホームページでチェックしました。
知りませんでした、こんなマスコットがいるとは。マスコットやキャラクターの中にも木のモチーフがあるはずですね。
愛知万博のモリゾー&キッコロも確か森や木がモチーフでしたかね?
返信する

コメントを投稿

木と歌」カテゴリの最新記事