樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

キジが国鳥に選ばれた理由

2015年07月23日 | 野鳥
日本の国鳥がキジであることは多くの人が知っていますが、いつ、誰が、どういう理由で選定したかはあまり知られていません。私も知りませんでした。
日本が国鳥を指定したのは、戦後間もない1947年。GHQの野外生物課長・オースチン博士が日本政府に対して野鳥を保護するよう勧告し、それに応えて文部省は愛鳥教育を採り入れます。
その中で、鳥類保護の象徴として国鳥を選定するよう日本鳥学会に依頼。22名の鳥学者が集まって、以下のような議論を展開したようです。
・日本固有種であるキジかヤマドリにすべきである
・平和の象徴であるハトがふさわしい
・美しい声でさえずるヒバリかウグイスが最適



最終的に多数決でキジに決定。その理由は以下のようなものでした。
①本州・四国・九州では1年中見られる日本固有の留鳥
②人里近くに生息しているため、目にする機会が多い
③雄は羽色が美しく、性質が勇敢
④雌はことわざにあるように母性愛が強く、多くの人に好まれている
⑤「桃太郎」など日本の文学や芸術などでも古くから親しまれている
4番目のことわざとは「焼け野のキギス(=キジ)」のこと。卵を抱く雌は山火事が発生して自分が焼け死んでも卵を守り続けるという言い伝えから生まれたことわざです。
国鳥にキジを選定したことに異論を唱える人は少ないでしょうが、そうやって選んだ国鳥をなぜ今でも狩猟鳥に指定し、鉄砲で撃ち殺すことを認めているのか、疑問を持つ人は多いはずです。
実は、上の5つに加えて、もう一つの選定理由があります。それは「狩猟鳥としてもなじみが深いから」というもの。鳥類保護のシンボルを決定する理由になぜ狩猟鳥であることが上げられるのか、理解に苦しみます。70年前の鳥学会の限界だったのでしょうか。
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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (guitarbird)
2015-07-23 12:48:31
こんにちわ
キジは確かに目視しやすいのがシンボルとしてもいいですね。
私は小学生の頃、父の車に乗って皇居の門(どこか忘れました)の前を通ると、道路からそう遠くない場所の守衛さんの前に♂のキジがいて驚いたのですが、いかにも国鳥らしいとその時思いました。
あと別の機会に「はとバス」ツアーでいった靖国神社境内でも雌を見ました。

狩猟の件は、当時はそれも含めて身近で親しまれているという理解だったのかなと思います。
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皇居や (fagus06)
2015-07-24 07:44:04
靖国神社にもキジがいたのですか。
皇居なら繁殖する場所もあるでしょうが、靖国神社にはそんな場所があるのでしょうか。
そちらに生息しているのはコウライキジですね。
いずれにしても狩猟の対象としては格好の鳥なんでしょうね。
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戦後でしたか (ume)
2015-07-24 20:15:45
国鳥が決まったのが戦後の話とは知りませんでした。
確かに人里近くに生息していますが、
長野の田舎ですら見かける機会が減り、
いつどこで見たか記憶してしまうぐらいの回数しか
遭遇できません。
テトテト道路を歩いていて車を止めていたり
あまり危機感なく
おおむねのんびりしていますので
今も狩猟の対象になっているとは驚きです。
雄のきれいな羽は人を惹き付けたのでしょうね。
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ume様 (fagus06)
2015-07-25 08:00:49
コメントありがとうございます。
国鳥を選定したのは戦後なんですね。しかも、GHQの指示がきっかけなんです。私も「え?」と思いました。
キジは、こちらでは河川敷とか広い農地へ行くと時々見られますが、いざ「キジを見に行こう」と思って出かけると遭遇しないことが多いです。
記事に使った動画は鳴き声を頼りに探して見つけたもので、後日、鳴き声やホロ打ちを収録しようと思って同じ場所に何度か通いましたが、姿を現しませんでした。
美しい鳥です。
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Unknown (新世界)
2020-07-13 10:09:32
国鳥だから狩猟して食べてはいけない理由など無いと思うが?
そんな事言ったらフランス人はチキン料理食えない。
この記事書いたの女性かな?
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新世界 様 (fagus06)
2020-07-13 10:43:58
コメントありがとうございます。
まず、キジは基本的には野鳥、ニワトリは人間が食べるために人工的に飼育している鳥です。ニワトリを食べているからキジも食べていいということにはならないのではないでしょうか。
また、一般的に考えて、国鳥は保護されるべきであって、狩猟の対象とすることに、私は違和感と矛盾を感じます。
なお、私は男です。
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Unknown (delection)
2020-11-17 20:31:42
古来から日本は狩猟で得た山の幸に感謝するもの。
狩猟は単に殺すというより山の神から頂いているという認識が一般的
理解しがたいと思うが昔の人々はそうやって命を尊重してきた
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delection様 (fagus06)
2020-11-18 09:48:57
コメントありがとうございます。
食肉が商品として流通していない時代に、そういう考え方があったことは私にも理解できます。
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