樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

出世の木

2015年07月20日 | 木と歴史
家の近くの大通りの街路樹はシラカシとクロガネモチですが、京阪電車の宇治駅前にはなぜかシダレエンジュが4本だけ植えてあります。今ちょうど花期を迎えて、白い花を咲かせています。



エンジュの英名はJapanese Pagoda Treeで、学名にも「日本の」という意味の種小名が付いていますが、原産は中国。日本に移入されたのはかなり昔のようで、神功皇后がエンジュの木に取りすがって応神天皇を産んだという伝説が残っています。
古代中国の宮廷には3本のエンジュが植えられていて、皇帝が朝見する際、最も位の高い3人の人物、日本で言えば太政大臣、左大臣、右大臣がその前に座ったそうです。この故事から、中国ではエンジュは「出世の木」とされています。
漢字では「槐」と書きますが、最高の官位を「槐位(かいい)」、大臣の家系を「槐門(かいもん)」と呼ぶのもエンジュに由来するわけです。
どこかの国の内閣には槐門が多いですね。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2015-07-20 09:22:59
おはようございます
実はですが、エンジュという木をそれと意識して見たことがありません。
こちらイヌエンジュはたくさんありますが、どこかに植えられているという話も聞いたことがありません。
ニセアカシア=ハリエンジュの街路樹は多いですが、それがとって代わっているのかな、と。
あまり遠くないいつか、一度きちんと見てみたいです。
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エンジュは (fagus06)
2015-07-21 08:04:37
こちらでもそれほど身近な木ではありません。
私が知る範囲では、京都市内に1カ所、枝垂れではないエンジュが街路樹として植えられているほか、府立植物園と二条城に立派なシダレエンジュが展示してあります。
記事にした宇治のエンジュも、造園屋さんの苗木が余ったから植えた、みたいな中途半端な使い方です(笑)。
エンジュもイヌエンジュもハリエンジュも同じマメ科ですが、属はそれぞれ別のようですね。
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