今年は不順な天候のせいかイチョウの色づきに固体差があるようで、散歩コースにある宇治名木百選のうち1本はすでに葉が落ちているのに、もう1本はまだ緑色の葉をつけていました。
散歩コースにある宇治名木百選のイチョウ
イチョウの学名bilobaの“bi”はbicycleやbilingualと同じく「2つの」という意味で、葉っぱが2つに裂ける特徴に由来します。ドイツの文豪・ゲーテはその特徴を男女の愛にたとえて詩を書いています。
これは 東洋からやってきて 私の庭に植えられた木の葉です
もともと1枚の葉が裂かれて 2枚になったのか
それとも 2枚の葉が相手を見つけて 1枚になったのか
私は1枚の葉であり あなたと結ばれていることを
あなたは気づきせんか
数ある落葉の中に2つに裂けたイチョウがあります
イチョウは中国原産ですが、江戸時代にオランダの植物学者が日本で発見して18世紀にヨーロッパに持ち帰りました。オランダのユトレヒト植物園にはその樹がまだ残っているそうです。多分、ヨーロッパの人たちはこの扇形の葉を珍しく思い、東洋の不思議を感じていたのでしょうね。
青葉の時から2つに裂けています(夏に撮影)
ゲーテが上の詩を書いたのは66歳の時。マリアンヌという人妻に叶わぬ恋心を抱いて、2つに裂けたイチョウの葉とともにこの詩を贈ったそうです。老いらくの恋、というやつですね。
ちなみに、詩の題は"Ginkgo Biloba"(ギンゴ・ビローバ)。イチョウの学名そのままです。
まず基本的なこととして、イチョウの葉が2つに裂けている、
と考えて接したことがない自分に気づきました・・・(笑)・・・
ゲーテの詩とイチョウというのは意外性のある結びつきですね。
日本から渡ったものにゲーテが目をつけてくれたことは
日本人としてうれしいですね。
特に若いイチョウにはほとんど裂けた葉がありません。老木になるとチラホラあるという程度です。
ひょっとすると、ヨーロッパに渡った固体がたまたまそういう固体だったのかも知れません。