樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

戦争と野鳥

2015年03月16日 | 野鳥
「戦争は最大の環境破壊」と言われます。野鳥にとっても戦争は脅威ですが、皮肉なことに、戦争によって安楽の地が確保された鳥もいます。それがクロツラヘラサギ。
この鳥は東アジアにのみ生息し、一昨年の国際一斉調査では2,725羽が確認されました。地球上にこれだけの数しかいないわけです。国際自然保護連合のレッドリストでは絶滅危惧種に登録されています。
ちなみに、その調査時に日本で確認されたのは277羽。そのうちの1羽でしょうか、2013年1月に大阪府の池に飛来した個体を撮影したのが下の動画です。



一斉調査は日本のほか韓国、台湾、中国、香港、マカオ、ベトナムなど越冬地で行われましたが、繁殖地は朝鮮半島の西側、北朝鮮と韓国の国境エリアにある離島に限られているそうです。
このあたりは非武装地帯になっていて人間が上陸せず、クロツラヘラサギにとっては繁殖に適した環境になっているのです。餌場も近くにあるようです。
戦争が生み出した局所的な環境ですが、野鳥も人間も安心して生きるためには、世界中を非武装地帯にするべきなんでしょうね。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2015-03-17 06:41:59
おはようございます
クロツラヘラサギそれほど少ないんですね。
いわゆる38度線の話は聞いたことありますが、でも朝鮮戦争は今はまだ「休戦」状態であり、情勢が分からないので、人間側のそういう都合とはまったく別に、クロツラヘラサギが繁殖できる環境は残してほしいですね。
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クロツラヘラサギの (fagus06)
2015-03-17 07:07:19
数は、私も調べて驚きました。これだけしか生息していないんですね。
そのうちの1割が日本でカウントされたわけですが、主に沖縄県とか九州地方でしょう。
北海道では記録されたことはないでしょうね。
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