樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

海外で暴れる日本の樹

2010年09月20日 | 森林保護
先日、「樹木界の暴れ者」と題して、日本で野生化している外来種を取り上げました。その逆で、海外で暴れている日本の樹木はないのでしょうか。
草本ではクズがアメリカで野生化して大きな問題になっているという話を聞いたことがありますが、「木本ではどうなんだろう?」と疑問になって調べてみました。
野生化して本来の生態系を乱す外国産の生物を「侵略的外来種」と呼び、国際自然保護連合は「世界の侵略的外来種ワースト100」を発表しています。その中には日本出自のものもいくつかあって、上述のクズに加えてワカメもリストアップされています。外国ではワカメを食べないので、害藻として扱われるそうです。
そして、アメリカで侵略的外来種に指定されている日本産の樹木は、何とアケビ。日本ではアケビの実が貴重品扱いされるくらいですからそれほど繁茂していませんが、なぜか北アメリカの東部では目に余るほど野性化しているそうです。


栃の森で時々見かけるアケビのツル

多分、観賞用に日本から持ち込まれたものが、たまたま現地の気候条件や土壌に適合したために繁茂したのでしょう。私の推測ですが、上の写真のように、在来の樹木に巻きついて絞め殺すので余計に嫌われるのではないでしょうか。
もう一つ、グミも北アメリカで暴れているそうです。詳しいことは分りませんが、各地で野生化しているため侵略的外来種と見なされているようです。赤い実が成るので、ガーデニング用に持ち込まれたのでしょう。


グミの花

日本生態学会が「日本の侵略的外来種ワースト100」を定めていて、野鳥ではバードウォッチャーにはよく知られているガビチョウやソウシチョウ、樹木では以前ご紹介したハリエンジュもリストアップされています。
「暴れ者」扱いしましたが、罪は生物にあるわけじゃなくて、勝手な思惑で持ち込んだ人間にあるんですけどね…。
アメリカではクズをJapanese Green Monsterと呼んでいるようです。その様子はこちら
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2010-09-20 16:52:52
こんにちわ
いつも興味深いお話を読ませていただきありがとうございます。
アケビの例は、アメリカの環境では日本ほどアケビと競争関係になったり、
アケビを阻害するものがたまたまないのかもしれないですね。
しかし日本人として言わせていただければ、グミもそうですが、
日本に来ているアメリカの樹木よりはかわいいんじゃないかなと・・・(笑)。
ワカメは採取して日本に向けて輸出すればいいのに、とも思いました。
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ワカメは (fagus06)
2010-09-21 08:31:24
何かの気象の変化で日本近海から海を渡って海外で繁茂しはじめたようです。
この件を調べている過程で、面白いことも分ってきました。
アメリカでは鯉が野生化して困っているらしく、湖で電気ショックを与えて駆除してようです。金魚も野生化しているそうですよ。
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