樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鳥の社会貢献

2012年03月26日 | 野鳥
横断歩道の青信号の音を思い出してください。ほとんどの場合「カッコー、カッコー」または「ピヨピヨ、ピヨピヨ」です。
カッコウとヒヨコの擬音であることは自明ですが、「カッコー」は東西方向(または主道路)、「ピヨピヨ」は南北方向(または従道路)の横断歩道を示していることを私は知りませんでした。
バードウォッチャーの習性で、街の雑踏の中でも鳥の声がするとつい聞き耳を立てます。例えば、たまに乗り降りする大阪・環状線の京橋駅ではホームのスピーカーからこんな声が聞こえてきます。(音声ファイルがアップできないので動画でアップします)



日本三鳴鳥の一つコマドリです。この「ヒン、カラララ~」という声が馬のいななきに似ているので「駒鳥」と名づけられました。
また、同じく環状線の福島駅のホームではミソサザイのさえずりが聞こえてきました。下は私が栃の森で撮ったミソサザイ。これと同じ声が駅のホームに流れているのです。



カッコウやウグイスなど一般によく知られている鳥の声ならともかく、こんなマニアックな鳥の声が大都会の真ん中で聞こえてきたので、一瞬耳を疑いました。
さらに、たまたま仕事で通った阪和線の美章園という駅では、こんな声が流れていました。



サンコウチョウのさえずりです。この声が「月、日、星、ホイホイホイ」と聞こえるので「三光鳥」。
「なぜ駅で鳥の声が?」と不思議に思って調べてみると、国交省の指導でした。駅のバリアフリー化が進んで、視覚障がい者が公共交通機関を利用する機会が増えたので、いろいろな音で誘導するようにガイドラインを作成したのです。
例えば、改札口や地下鉄の地上出入口では「ピンポーン」、トイレでは「向かって右が男子トイレ、左が女子トイレです」と音響で知らせるように指導しています。
そして、ホームの下り階段では、転落事故を防ぐために「鳥の鳴き声を模した音響」を流すようにガイドラインに明記しています。
そういえば、私がいつも利用している京阪電車の中書島駅でも、京都方面のホームではカッコウ、大阪方面のホームではホオジロの声が流れています。
横断歩道の「カッコー」は視覚障がい者に東西南北や道路の大きさを知らせるため、駅のさえずりは下り階段の位置を教えるため。鳥も意外なところで社会貢献しているんですね。
みなさんがよく利用される駅でも一度チェックしてみてください。

コメント (4)
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