樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木造建築の火災実験

2012年03月08日 | 木造建築

先日、つくば市で3階建ての木造校舎の火災実験が行われました。

「公共建築物木材利用促進法」が制定され、校舎などに国産木材を使おうという機運があるのですが、現在の建築基準法では2階建てしか許可されません。それを緩和するために実物大の木造3階校舎を建て、その耐火性を検証しようというのです。

国交省、大学、ハウスメーカーの産官学共同の研究チームが、軸組工法(Aブロック)と枠組壁工法(Bブロック)の2つの工法で、延べ2260㎡の校舎を設計・建設。実験では、1階の職員室に点火されました。その様子が以下の動画。

  

 点火から1時間15分後にはAブロックのうち、防火壁とBブロックに挟まれた区画が丸ごと倒壊。その10分後にはBブロックの一部、さらに9分後にはBブロックのほとんどが倒壊し、1時間36分後には防火壁が崩れ落ちたそうです。

使用された主な木材はスギ集成材とカラマツ集成材。校舎の建築費は3億円だそうです。その額に驚きましたが、調べてみると、実験のためにいろんな装置やシステムを組み込んでいるようです。

一応、火災発生後1時間もてば準耐火構造ということになるようですが、1時間15分というのは微妙な数字ですね~。確証を得るために、もう一度実験するそうです。

このニュースを見て、私は黒澤明の映画『乱』を思い出しました。城が炎上するラストシーンのために、実物大の城を建てたのです。建築期間は4カ月、建築費はなんと4億円! 今回の実験棟のさらに上をいくわけです。

その炎上シーンを背景に主役が放心状態で階段を降りてくるのですが、撮り直しがきかない1発勝負。主演の仲代達矢は、失敗すれば4億円がパーというプレッシャーの中で演技したのです。映画俳優にならなくてよかった~(笑)。

黒澤監督は『赤ひげ』の時も、薬箪笥の外側しか映らないのに、すべての引き出しに薬を入れさせたという逸話が残っています。撮影へのこだわりは尋常ではないですが、それにしても、わずか1~2分のシーンのために4億円かけて城を建てる? 映画監督にならなくてよかった~(笑)。

 

コメント (4)
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