樹木の本を読むためにあちこちの図書館へ出かけます。宇治市立、京都市立(山科区)、京都府立、大阪市立、大阪府立、国立国会図書館(関西)。このうち宇治市立と京都府立は住民なので当然本を貸してくれますが、太っ腹なことに大阪市立図書館は住民ではない私にも貸してくれます。しかも蔵書が豊富で、探している本がたいてい見つかります。
先日、guitarbirdさんのブログで『50本の木』という写真集があることを知って、大阪市立図書館の蔵書を検索すると、予想どおりあったので借りてきました。
丹地保堯(たんじやすたか)というカメラマンが撮った樹木の写真に、谷川俊太郎が1行詩を書き添え、天野祐吉が編集した写真集です。この写真家のことは何も知らなかったのですが、ネットで調べると、樹木の写真集を何冊も出版していて、コンテストの審査員も務めるような人のようです。
谷川俊太郎の1行詩が20本掲載されていますが、その中で印象に残ったのは以下の作品。
林の中にいると心がからだになじんでくる
名づけ得ぬ緑の諧調を目は喜んでたどる
一本一本の木にくちづけしてから死にたい
この地上で木とともに生きることの恵み
この人が紡ぎ出す言葉は、レトリックはないのに、心に残ります。誰でも書けそうな身近な言葉使いで、「なるほど!」と納得させる表現ですね。私も言葉を生業にしているので勉強になります。
丹地さんの樹木の写真を見ていて、以前ご紹介した東山魁夷の樹の絵を思い出しました。
丹地さんの写真
東山魁夷の「並木」
丹地さんの写真
東山魁夷の「樹」
樹木のシルエットに造形美を見出すと言うのか、画家も写真家も同じような感性を持っているんですね。