樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

円は紙、ドルは布

2010年12月16日 | 木の材

誰もが欲しがる人気者、紙幣の原料は当然ながら木です。国立印刷局のホームページを見ると、ミツマタなどを原料としたパルプを細かく刻んで紙にすると書いてあります。伝統的な和紙とは製法が違うようですが、材料は和紙と同じで、ミツマタのほか多分コウゾも使われているはずです。 

 

ミツマタはその名の通り枝が3つに分かれます 

 

図鑑によると、ミツマタは室町時代に中国から製紙用に移入された樹木で、ジンチョウゲの仲間。庭木にも使われていて、私がよく行く花寺にも一株植えてあります。コウゾは在来のクワの仲間ですが、栽培された雑種のようです。いずれも樹皮の部分が紙になるようです。

 

ある植物園で見つけたコウゾ

 

  

クワ科特有の変形した葉

 

アメリカのドル紙幣にはミツマタやコウゾは使われていないはず。どんな木で作られているのだろうと調べたら、綿75%、麻25%だそうです。これは紙というよりも布ですね。しかも綿も麻も草本ですから、木製の円に対して草製のドルということになります。

 

数十年前の旅行で残った1ドル札

 

面白い話が残っていて、天候不順で綿花が不足した年に、アメリカ造幣局はやむを得ずリーバイス社に頼んでジーンズの切れ端を譲ってもらって補ったそうです。布なので紙よりも耐久性があり、燃えた場合も紙のお札より形を保つそうです。

オーストラリアやニュージーランドはポリマー紙幣、つまりプラスチックのお札らしいですよ。知ってました?

コメント (10)
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