樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

シイタケとドングリは兄弟?

2010年12月09日 | 木と飲食

最近、野菜は隣町の農協直売所で買っています。形が不ぞろいだったり、時々ナメクジが付いていたりしますが、安くて新鮮で美味しいです。野菜が高値だった夏も、ほうれん草1150円くらいでした。

シイタケも原木ものと菌床ものを販売していて、食べ比べるとやはり原木ものの方が食感があります。原木は多分クヌギかコナラでしょう。

 

 菌床もののシイタケ(1350円)

 

ところが、食通として知られる北大路魯山人に言わせると、シイタケはやっぱりシイノキのものに限るそうです。著書には次のように書いています。

「大分の椎茸は本当の椎の木にできた椎茸なので、皮が黒くなめらかで、香りや味がすばらしい。関東で賞味している椎茸は、実は椎の木にできたものではなく、櫟(くぬぎ)の木にできたものだから本当にうまいとは言えない。(中略)噛みごたえがあるという特徴はあるけれども、椎の木にできた椎茸のように香りがない。所詮は椎の木にできた椎茸にまさるものなしと言えよう」。

私はシイノキに生えたシイタケを食べたことがないので実感がないですが、魯山人先生がおっしゃるのだからそうなんでしょう。第一、シイタケというくらいですからシイノキが本家ですよね。

先生はまた、「椎茸のかさは、そのできる木の皮に似る性質があるので、櫟の木にできた椎茸のかさは櫟の皮と同じようになっており、椎の木にできた椎茸は椎の皮に似ている」とも書いています。

下の写真はコナラに育ったシイタケですが、言われてみれば原木の樹皮に似ています。

 

 

下の写真は栃の森で見つけた100%天然のシイタケ。生えていたのはミズナラの倒木で、こちらは樹皮には似ていません。

 

 

シイタケは本家のシイノキのほか、クヌギにもコナラにもミズナラにも生えるわけですが、これらの樹木には共通点があります。それはブナ科であること。つまり、ドングリの成る樹です。

ということは、ドングリとシイタケは異母兄弟か?

コメント (6)
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