樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

厳島神社の鳥居

2010年11月29日 | 木と宗教

日本で最も有名な鳥居は、おそらく広島県の厳島神社のものでしょう。私もそうですが、みなさんも現地に行ったことがなくても何度も目にしているはずです。 

普通、木製の鳥居にはヒノキが使われますが、この厳島神社の大鳥居は昔からクスノキと決まっています。確かな理由は分かりませんが、クスノキは昔から造船材料として使われたくらい水に強いので、脚が海に沈んでも大丈夫なようにクスノキを選んだのではないでしょうか。 

 

干潮時の大鳥居(著作権フリーの画像をいただきました)

 

 厳島神社は1168年に平清盛によって造営され、その翌年に初代の鳥居が建てられたそうです。その後、今日までの約840年の間に何度か建て代えられ、現在は8代目。右側の柱は宮崎県日向で調達した樹齢700800年のクスノキ、左側の柱は香川県豊浜町で調達したクスノキで、明治8年に完成しました。

大きさは、高さ約16.4m、上棟の長さ24.2m。昭和25年の大修理の際、海に沈む根継ぎのために直径約2mのクスノキを調達したそうです。 

 

昭和25年に修理された根継ぎの部分のアップ

 

クスノキはずんぐりむっくりの樹形で、地面に近いところから枝を伸ばすので、太くて真っ直ぐ長い材の入手が難しく、この修理の際にも相当苦労したようです。各地を探し歩いてようやく見つけたものの、搬出の際に交差点が曲がれないので、角の家の柱を切ってもらってようやく運んだという話が伝わっています。

 

 

普通のクスノキの樹形 

 

現在の鳥居は建築後135年経過していますが、これまで最も寿命が長かったのは5代目で178年間も建っていたそうです。寄進したのは毛利元就。よほど質のいいクスノキだったのでしょうね。

 

コメント (8)
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