樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

森の春

2010年05月03日 | 樹木
野鳥と樹木を観察するために、積雪でアクセスできない冬と鳥が少ない夏を除いて毎月(年7回)、「栃の森」に通っています。先々週の土日、5ヶ月ぶりに行ってきました。今年で15年目。
通い始めた頃は雪の上を歩きながら動物の足跡も観察できましが、年々雪が少なくなって日陰に少し残る程度。そのわずかな残雪も今回は一度も目にしませんでした。
それなのに、森の中はまだ冬景色。去年の今頃は樹木が若葉で包まれていたのに、今年はまだ葉が展開していません。


(湿原の林もまだ冬景色)

そんな中、春の息吹きをそこここに発見。地面では、カエデの実がプロペラをつけたまま芽生えて根を張っています。カエデの仲間はこのプロペラで風に乗って遠くへ飛んで子孫を増やそうとします。大きさから推測すると多分ハウチワカエデ。



わずかながら、芽吹いている樹もあります。下の写真は、クマシデの葉っぱの赤ちゃん。まだ小さいのに、葉脈がたくさん並んで元気いっぱい。


(生まれたばかりのクマシデの葉)

展葉は遅いものの、開花はほぼ例年どおり。いつも早春に咲く花が目を楽しませてくれました。下の写真はキブシ。園芸界ではキフジ(木藤)と呼ばれ、似たような名前でややこしいです。このほか、タムシバ、ヤマザクラ、クロモジ、ヒサカキ、アセビなども開花していました。



次の写真はトチノキの葉芽。少しテカっていますが、触ると粘っこいです。この森にはトチノキが多いので、私は勝手に「栃の森」と呼んでいます。6月には白い花が咲き、麓の農家で蜂蜜が売られます。



鳥は、オオアカゲラなどの留鳥に加えて、オオルリなどの夏鳥、カシラダカなどの冬鳥、関西では旅鳥のノビタキも出現して40種類。しかも嬉しいことに、私は今回クマタカを目撃しました。
バードウォッチャーには、一瞬チラッと見ただけとか、「あの鳥だろうな」と思いつつ遠くてはっきり識別できないとか、「一応見たけど、見た~!という実感のない鳥」があります。私にとってクマタカはその類いの鳥でした。
この森でも過去14年間に2回出現していますが、私はチラッとだけ。しかし、今回は青空をバックに白い大きな翼のタカが飛んでいる姿をしっかり目撃。約5秒間でしたが、「クマタカを見た~!」というワクワク感が残りました。
近くにはヤマドリの羽根が散らばっていました。おそらくクマタカが襲ったのでしょう。ヤマドリには申し訳ないけど、おかげで私は久々に興奮しました。


(クマタカ?にむしられたヤマドリの羽根)

なお、この森は5年前に入山禁止になりましたが、私たちは長年続けてきた鳥の調査を継続するために許可を受けて入山しています。
コメント (2)
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