樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

七夕伝説

2009年07月06日 | 木と宗教
宇治市と大阪市の中間にある交野(かたの)市は、関西では七夕伝説で有名です。天野川という川が流れ、星田や星が丘などの地名が残り、織姫を祭る機物(はたもの)神社があります。
この神社では毎年7月6日~7日に七夕祭りが行われ、境内に立てられた約40本の竹に多くの人々が短冊を結びつけます。

       
        (機物神社の参道には七夕祭りの幟が立っていました)

竹は当ブログの守備範囲ではないのでパスしますが、この神社ではタラヨウの葉に願いごとを書き記す風習があるというので見てきました。
以前ご紹介しましたが、昔タラヨウの葉の裏に文字を書いたことから「葉書」と呼ばれ、現在も「郵便局の木」に指定されています。先が尖ったもので書くと、しばらく後にその部分だけ黒く変色するのです。

       
                  (機物神社の本殿)

本殿の左右にタラヨウが1本ずつ植えてあり、人の手が届く範囲の葉の裏にはいろんな願いごとが書き記してあります。中には「仕事が早く見つかるように」という世相を映す願いもありました。
タラヨウを絵馬がわりにして願いごとを書く神社というのは珍しいのではないでしょうか。私は初めて知りました。

       
       (タラヨウの葉の裏にはいろんな願いごとが記されています)

もう一つ驚いたのは、両方のタラヨウの横にカジノキが植えてあったこと。カジノキも昔は葉の裏に墨で文字を書いたと言われています。試したことはないですが、細かい毛が密生してビロードのようになっているので字が書けるそうです。
タラヨウといいカジノキといい、葉に文字が書ける木が本殿の左右に植えてあるというのは何か意味があるはずです。

       
                  (カジノキの葉)

帰って調べたら、昔は七夕にはサトイモの葉にたまった夜露で墨をすってカジノキの葉に願いごとを書いて供えたそうです。公家の末裔・冷泉家では現在も七夕の日に歌を詠んでカジノキの葉に書き記すそうです。
今はカラフルな短冊に願いごとを書きますが、紙が貴重だった昔はカジノキやタラヨウの葉に書いて竹に飾ったのでしょう。想像するだけで風情がありますね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする