樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

目薬の木

2009年07月23日 | 木と医薬
カエデの仲間にメグスリノキという木があります。樹皮や葉を煎じ、かすみ目や眼の疲労には飲んで、傷や「ものもらい」には洗眼して治したのでそう呼ばれています。
私は「迷信だろう」とタカをくくっていましたが、先日ある本で北米の先住民族・チェロキー族もカエデの樹皮で作った薬を眼の治療に使っていたことを知り、「ひょっとして本当かも」と思うようになりました。

       
           (メグスリノキ。この樹皮を煎じると目薬に…)

下の写真はメグスリノキのエキスが入ったキャンディー。鳥見ツアーで訪れた新潟県で見つけました。「IT時代のレスキューキャンディー」という物凄いネーミングで、Bはブルーベリー、Mはメグスリノキ、CはビタミンCを表しています。

       
                (エキス入りのキャンディー)

買いはしませんでしたが、他にもメグスリノキをチップ化したお茶、エキス入りの煎餅やうどんが並んでいました。

       
               (メグスリノキのお茶とうどん)

調べてみると、おもしろいことが分りました。東京にある星薬科大学の井上隆夫教授がメグスリノキについて長年研究を行い、樹皮に含まれる有効成分が眼病を予防したり、視神経を活性化することを解明しました。
しかも、その井上教授の実家は京都のど真ん中にある「井上目薬」という和薬の老舗。現在はもう営業していないようですが、老舗らしい店舗と古い看板はまだ残っています。

       
       (井上教授の実家。上の看板には「御めあらひ薬」とあります)

この「井上目薬」はメグスリノキを使っていたわけではなく、江戸時代に梅肉を使った練り薬をハマグリの貝殻に入れて売り出し、ただれ目、かすみ目、目の充血などに効くのでよく売れたそうです。その目薬屋の息子が別の目薬を科学的に解明したという何とも不思議な因縁です。

       
           (店名は「井上清七薬房」、商標は「井上目薬」)

「IT時代のレスキューキャンディー」を舐めてみたところ、かすみ目がすっかり解消しました……とはいきませんでした。もともとあまり眼が疲れない方なので、効果が出なかったのでしょうか。
コメント (4)
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