湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

6/29 ##君の疑問に答える:懇話会ゲストの選び方(2)

2015-06-30 04:08:48 | 地震津波災害ボランティア

2015/06/29 記
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教え子の##君と話した「どういう基準でゲストを選んでいるのか」という彼の問いが、ずっと脳裏に響いていた。懇話会は、「災害はひとの心も生活も奪い去って行く恐ろしいものだから、対策を準備しましょう」という一般向けの啓発講演ではなく、「大災害の隣にあって、このままではいけない。どうしたらいいのだろう」とか、「3.11の熱も冷めて、ここで再び広域大災害がおきたなら、また同じ惨事を繰り返すのか、このままではいけない」というような、自らのスタンスを見つめなおしていこうとする方や、地域を守る手立ての無力感と戦っている方が、胸に込めている思いと疑問を吐き出し、現場の経験から見通しを探っていこうとする摸索の場だ。その思いのヒントを触発してくれる方をゲストとして招待している。講演ではない、懇談であるとは、そういう意味が込められている。

前回、「話し合う機会が本当に稀だが、必要性が高い"災害弱者"の"いのちと生活"を考える」という話を書いた。しかし、この領域は専門職の領域であり、プライバシーにも触れるために専門職に任せておくべきだという論理が、私たちの脳裏に蠢いている。昔から「高齢者・障がい者・乳幼児と妊婦」は地域で事前に、被災時、誰が助けるかを決めておくという話から、地域町内会や民生委員さんたちが活動しているが、一向に話がまとまらないという事態がある。ひとの命を預かる重さが大きすぎるとか、先方とつきあいがないし、自分も逃げ遅れるリスクを抱えることになるという話が壁になる例が大きい。専門職に任せておけばいいというのではなく、自分には何も出来ない、または家族だけで手一杯だし、そんなにしょっちゅう地震は起きるものではないからという先送りや思考忌避が実態だろう。この閉塞状況のもつれた糸を解きほぐして、一歩先でも見通しを探っていこうとするのが「懇話会」の試みだ。

「住民意識の空白」(平常性バイアスがかかる)とか、「専門職依存」思考忌避という事態も、実際、被災地にいくと「このままでいいはずがない」という心の変化に気がつくだろう。

ひとが忘れているのは、専門職とその家族もまた被災しているという事実だ。今だからこそ支援が欲しいときに、力を貸してくれる専門職の絶対数が足らなくなるという事態が到来する。119をかければ、助けがやってくると思っている環境は吹き飛んでいるという事実だ。

だからかもしれないが、防災活動は「安全避難」に始まり「安全避難」に終わってしまう靴の外から掻くようなもどかしさと虚しさ。被災者の体験も、発災時の異常事態がいかに起き、どのように助かったのかという場面に終始して進まず、そこから安全避難法論議に流れ込んで終わり、あとは集団行動避難訓練となってしまう。しかし、被災当夜、避難所を追われる障がい者は、その時点から既にサバイバルが始まってしまう。避難後の語りが圧倒的に足らない事態がそこにある。

糖尿病の薬とか、血圧の薬とは言えても、常用薬の名前が言えなかったり、アレルギーの自己申告をしなければ、配給の食糧にも命の危険が潜んでいる事態があるのに、健常者避難の話すら曖昧のまま、災害弱者保護は混乱の中に落とし込まれる事態に、議論がないという事態は、このまま放置しておいていいはずがない。

被災地現場の経験から語る場をつみあげていく必要があるというのは、そういう「轍を踏む愚かさ」から一歩踏み出していこうとするあがきの試みだ。

その被災地現場の実情と経験を語り、私たちの問いかけに、的を射た持論を返していただける方を選んでいる。

今回の中村雅彦さんは、自分の養護学校時代の教え子の消息を追ったり、地元の障がい者当事者と家族の会組織や社協を問い合わせながら取材したお話が中心になっている。しかも発刊の2012年以降の継続調査の中で、障がい者のニーズの変化もあわせてレポートしてくださることになっている。

この会のチラシを持って関係者をまわったとき、私は、懇談だから、少人数で語り合うと語った。これをいうと実は、ふんわりとした関心が吹き飛ぶのだ。様子見の立場が危うくなるからだ。懇話会は沈黙の権利を侵さない。しかし実際は、それだけで参加が減る。しかし、消極的な人が集まっも、話は浅くなる。被災経験から気付く契機はすり抜けて行く。いつもこの辺の空転に忸怩たる思いを押さえ込んでいる。討議ではなく懇談。こんなつまらないところでつまずいてどうすると思う日々である。

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中村さんの著書「あと少しの支援があれば」の見直しをしている。みえなくてメガネをはずすと数cm先の文字が見えない。明らかに視力が落ちている。7/10の視野検査で等級更新を行う。拡大読書機を申請するのはその後だ。汚れたガラスの隙間から世界を見ているような状態。見えているところに文字を置いて読むので、目が疲れる。いい本だ。時間はかかるが、チェックを入れ、懇話会に臨む。

夜間傾聴:**子(時間調整に失敗)


(校正2回目済み)

 

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