温暖化の進捗か歳のせいなのか、毎年、暑さの度合いが増すように感じる。そのせいか蝉の鳴き声も「あつ~い あつ~い」と聞こえる。そう鳴きながら古い樹皮の下に産卵をしているという。1年近くそこで過ごし、脱皮し7年くらいといわれる地中生活に入る。その月日、再び地上で子孫を残すための準備期間であろうが人目に触れない生活を送る。少々神秘に感じる。
地上に現れ羽化してからの寿命は1週間くらい、というのは子どものころの記憶がそのまま残っているだけ。何かの根拠あっての言い伝えだろうが、7年に比べあまりにも短い。その羽化した抜け殻を読んだ詩がある。
母さま、裏の木のかげに、蝉のおべべが ありました。
蝉も暑くて 脱いだのよ、脱いで、忘れて行ったのよ。
晩になったらさむかろに、どこへ届けてやりましよか。
これは童謡詩人 金子みすずの「蝉のおべべ」という作品。みすずの小さな生き物への優しい思いやりが感じられる。「おべべ」は「べべ」を丁寧に表現した言い方で、べべは着物のこと。そういえば「赤いべべ着た可愛い金魚・・・」そんな童謡も思い出す。
そういえば、夕べの錦帯橋の花火大会。家の前を通って見物に行く人の中にべべ、浴衣を着た人を見かけなかった。あのころの蝉も今の蝉も鳴き声は変わってはいないだろう。変わったのは人の住む世界だろうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます