日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

木舞と土壁

2013年10月25日 | この木


 知人の棟梁が棟上げした新築現場、散歩の途中に立ち寄った。「現場監督をお願いします」という冗談に応える意味でも。屋根瓦は葺かれ、台風や雨の襲来にもまずは一安心。工程の進捗のほどはわからないが、大工作業の音が心地よく聞こえる。

 目を引いたのは木舞(こまい)、これは土壁の骨組みになる。2センチ幅ほどに細く割った竹を柱と柱の間に縦横に並べ格子状に組む。竹はワラや麻の縄などで結わえ動じないようにする。組む作業はすべて手作業、機械化は不可能だろう。窓や扉以外はすべて木舞がつく。

 木舞が完成すると壁土を塗る。初めに荒塗り、格子の四角い空間が塞がれると、明かりが遮られる家の中が少し薄暗くなる。荒塗りの上に重ねて塗るのが中塗り、これは少し丁寧に塗る。最後は仕上げの上塗り、飾り壁土を使う。こうして3度塗りを両面から行う。土壁の厚さは10センチほどになろう。これで家は地震に耐え、外気の寒暖を和らげ、火事に対しては延焼を阻止する。50年近く前に建てた我が家が土壁の家だったことを思い出しながら、木舞を眺めた。

 荒塗りと中塗りの壁土、本当の呼び名は知らないが、赤土と呼んでいた。茶色で湿り気の強い土という記憶が残っている。これに繋ぎとなる短く切ったワラを混ぜ水で練る。粘くて手では練れない、機械力はない時代、若い左官職人が素足でこねまわして壁土に仕上げていた。いい練り具合を覚えるため、足の使い方も教えられながら。

 こうした日本の伝統的な工法による建築が少なくなった。棟梁は、伝統的な日本家屋の建築の好まれない理由のひとつに「工期の長いこと」を上げる。手がけている家の完成は年明けの3月頃という。クロス張りと土壁の違い、住んでみるとよく分る。壁塗り、見ているだけだと単純そうだけど、職人の技が潜んでいる。その塗りの機会に出会えるといいのだが。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台風対策の策 | トップ | 遊んで食べよう »

コメントを投稿

この木」カテゴリの最新記事