近くの小学校のそばを通りかかるとプールから水泳教室の声が聞こえる。プールは道路より背丈ほどの高さにありフェンスに囲まれていて児童らの姿は見えないが、通るたびに「準備運動の掛け声、ホイッスルと同時にバチャバチャと手足を動かす水音、指導者の泳ぎ方の説明する声、順にシャワーを使って」などいろんな音や声が聞こえる。
プールは敷地の隅っこになる。毎年このプールから元気な声や音が聞こえるともうすぐ夏休みが来る、暑い夏の到来だと教えられる。同じ頃にプール向かいの家の軒下に緑のカーテンを兼ねたヘチマの弦が伸び始める。今年はすでに幾つか花が咲いている。プールの声や音がヘチマの成長に役立っているかもしれない。
プールから声は聞こえるが、梅雨明けの目途どころか、一週間以内に何度目かの大雨予報が出ている。特に九州南部には、雨が小康状態の今も土砂崩れに注意の呼びかけが続く。そこに大雨がくるという予報が心配を重くする。昨年、西日本の広い地域を襲った大水害から1年、各地の慰霊に集う人たちの気持ちが雨雲前線に届けと祈る。
プールのない小学校時代。水泳教室は錦川で、錦帯橋と龍紅の中間あたり、かまぼこ板で作った水練札が懐かしい。夏休みの泳ぎはやはり錦川、ここにも水練札を持参し真夏の日がさす川原で半日を過ごした。テントもシャワーも、冷たい飲み物も無かったが事故があったという記憶は無い。1年中、子どもらは自然の中で過ごすことになっていたからだろうか。水による事故が起きないようプールでしっかり学んでほしい、水音を聞きながら思う。