日々のことを徒然に

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作者の肩書

2014年02月14日 | 社会 政治


 ある自治体から、全ての公共施設にある全ての美術品の調査を依頼されてる人の文章。廃校になった小学校の体育館で、遊ぶ子どもの姿を描いた大きな油絵が目に飛びこんできた。その絵は作者がわれを忘れて無心に遊ぶ無邪気な子どもを描いたことだろうと想像できた。題名と寄贈者の名前があった、それは初めて聞く女性の名前で、無性に気になっていた。

 ひと月後、教えられて寄贈者の自宅を訪ねて、作者は43歳で帰らぬ人になったと、お母さんから教えられた。絵は32歳の時、母校の体育館が完成、学校側に懇願され贈った絵で、作者の一番のお気に入りだったと分かった。中学校の美術教員、結婚後は絵画教室などを開き、子どもと一緒に絵を描きつづけていたという。「作者の肩書や値札の価格で作品を評価してきた自分がいた。無心で描く素晴らしさを教えてくれた作者に恩返ししたい」とまとめられている。

 ある美術館で評価額数万円といわれていた絵、その後に作者が世界的に有名な画家と分かったとき、その価格は千倍以上になったという。絵の評価は絵そのもではなく、作者の名前で決まるんだ、そう思ったことを思い出した。先の調査員のような人が絵画鑑定をされたら、その評価が変わるような気がする。

 第150回芥川賞は広島の主婦作家に輝いた。芥川賞・直木賞は1935(昭和10)年1月に文藝春秋社により創設された。菊池寛は「亡友を紀念する傍々無名若しくは無名に近き新進作家を世に出したい為である」とし「審査は絶對公平」と賞の制定宣言で述べている。また、二つの賞の制定が「文運隆盛に資すること」とある。これからも無名な作家が数多く輩出されることを楽しみにしている。
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