日々のことを徒然に

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正解のないテスト

2012年09月29日 | 生活・ニュース
           

 史上はじめて自然発生させたニュートリノの観測に成功し、ノーベル物理化学賞を受賞された小柴昌俊先生(現在 東京大学特別栄誉教授)、学費と生活費を稼ぐために、多くの種類のアルバイトしたと書かれている。

 ある創設されたばかりの学園から「中学生に物理を教えてくれ」という依頼、得意の分野として教壇に立たれた。ある期末試験で「もしこの世に摩擦がなかったら、どうなるか。記述せよ」という問題を出されたという。

 摩擦、一般社会においては「こすり合わせる、すれあう、人々の間に起きる不一致や不和」(広辞苑)と理解できる。物理学では物体の運動でどうなる、など難解な解釈となる。そんな理論的ではないが日々の生活の中で、不和や軋轢が起き周囲の人との仲がこじれることはある。

 政治や宗教の世界では摩擦が大きな争いに連なる。かってのように武力行使で制することは少ないものの、争いは絶えていない。四方海に囲まれた日本の国境は海の上、素人にはその線は見えない。これまで自国の国境について最近まで強い意識はなかった。領空や領海の侵犯というニュースに何故という疑問は持ったが、そのことへ強い苛立ちを示すことはなかった。

 先の摩擦の問題、正解は答案用紙に何も書かない「白紙回答」。その理由は、摩擦がなかったら、鉛筆で文字を書くことは出来ないから、と解説されている。出題の意図は「生徒が自由に考え、アイディアをひねり出すきっかけになる」からという。科学者を育てる素養だろうか。

 日本の領土ということを解らしめ、摩擦を解消するに白紙回答はない。ここでは政治力を発揮するしかない。しっかり見守っていく。1972年の今日という日は、当時の日中両首相が国交正常化の共同声明に調印、戦争状態終結を宣言した日。新たな摩擦にいらだつ。

(小柴昌俊先生に関する部分は文藝春秋10号を参照しました)
コメント (2)
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