先日、「ビューティフル レイン」という連続ドラマが終わった。見始めたのは主人公に若年性アルツハイマー病の診断が下される回からだった。ドラマは診断を下された主人公が小学生の娘(母親は幼いとき亡くなっている)にどのように伝え、それを理解させるか、そんな展開から見始めた。ドラマでは「親子の間で隠し事を絶対にしない」という約束が貫かれている。
よほど進行しないと痛くも痒くもなく、外見からは分かりにくい病、そのくらいの知識しかない。ドラマの診察場面を見たあと、別番組で実際の診断内容を見た。似ていた。年齢を重ねるといつ発症するかもしれない、そんな心配がゼロではない不安が最終回まで見させたのかも知れない。
日本の65歳以上が3000万人を越え、国民の4人に1人が高齢者という。人口減少と少子化、これが並行すればさらに高齢化は進みスピードは増しすが効果的な歯止め策はない。そこには支えあえる環境が必要になる。ドラマでの主人公は勤める町工場の経営者家族と2人の従業員に支えられる。アルツハイマーと診断した医師もその環境に満足する、そんなエンドだった。
娘の名前は美雨、これがタイトルになっていた。娘は「お父さんのことは美雨が全部覚えていてあげる」、ドラマではあるが小学2年の娘の言葉に父親は空を見上げる。完治見込みのない病に罹ったときどうするか、昨年の入院で一瞬よぎった。日々、老老に近づく身辺を思うとき、時にはそれへの備えを考えなければ、そんなことをドラマは教えてくれた。