
2009年6月19日 毎日新聞 「はがき随筆」掲載
名勝・錦帯橋そばのバスセンターに「頭上注意 ツバメの巣がありますのでお気をつけ下さい」という張り紙がある。その真上に真新しい巣が見える。
何に気をつけたらいいのか一目で分かる。あれを頭や旅行着に落とされたら錦帯橋の思い出が汚れてしまう。そんなことを思っていると、親ツバメが戻り、幾つものくちばしがのぞいた。 張り紙のおかげで自然のままに生きられるツバメは幸せだ。
観光で訪れた人に不快な思いをさせてはならない。いかにも急作りらしい張り紙、マジック書きの字に、センターの方の温かみがにじみ出ている。
(写真:ツバメが映える水のある稲田)