雑草の茂みから空中へ這うように突き出て 上下に左右にユーラユーラ揺れている
正面に立って見ると擬人ドラマに出演する悪役怪獣 攻撃する場所を探しているようで面白い
横から見ると幾枚もの羽を持った妖怪 のんびりと昼下がりの遊泳を楽しんでいるようでまた面白い
サルトリイバラは周りの木々にからみつき上に上に伸びていくと思っていたら、それに逆らったのかあるいは迷ったのか、雑草の間から道に向かって這うように伸びだしている。揺れるさまは怪獣であったり妖怪であったりと思い様だが、空中で動く様子はユーモラス。
この植物は子どものころには「柏餅の葉」と呼び、柏の代わりに端午餅をつつむ葉として大切な材料だった。葉を採るのは山遊びをする子どもの仕事、時に腕や脛を棘に傷つけられながらでも手の届く範囲の若葉を集め、食べる楽しみを待った。
名前の由来は茎が節ごとに曲がり棘があるので「猿が引っかかってしまう」という意味だとある。しかし、焚き木取りをした子どものころの経験では実際に引っかかるのは着ている服で猿に濡れ煮衣を着せたのだろう。 人間の猿知恵を笑うようにユーラユーラと気持ちよさそうだ。
(写真:ユーモラスに揺れるサルトリイバラ)