![キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』](http://ec2.images-amazon.com/images/I/51BBG5272PL._AA240_.jpg)
読みやすくていい本だった。もっとゆっくり読むべきだなあと思いながら急いで読んでしまった。
タイトルや表紙から感じられるほど過激な本でもなく、穏当な本。
過激な本であるのかもしれないが、キリスト教のことをよく知らないし、それで育てられたわけでもないので、読んでいてムカムカするとか、背筋が寒くなるとか、読んでいるところを人に見られたらどうしよう、とかそういうことはなかった。
「儒教は邪教です!」とか「アンチ天皇」とかいうタイトルの本のほうがそういう気分になるだろう。
キリスト教の国の人にはそのくらいの衝撃があるんだろうなあと想像しながら読む。電車で、「天皇制は邪教です! アンチ天皇」と表紙に大きく書いてある本を私は読めない。
イエスのことをキリスト教と分けて考えているのが意外だった。イエスのことは評価している。
ちょうどプルーストが《実はプラトンがソクラテスの言葉を、また聖ヨハネがイエスの言葉を歪めたのにも劣らずに》(4巻26ページ)という比喩を使っているのを読んだところだったので不思議な感じだった。
マルクスの思想とマルクス主義は違うとか、よく言われる。
ニーチェは物語にして世界を見ることを本当に嫌ったのだな。
このような読みやすい翻訳はどんどん出てほしいものだと思う。批判されたり誉められたりする大親分のカントが読みたい。