![]() | 差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)辛 淑玉,野中 広務角川グループパブリッシングこのアイテムの詳細を見る |
09年6月の初版以来既に10版を越える角川新書。この重版は根深い差別意識の反映か改善への問題意識か。
二人の対談形式を取っているが、テーマー要所に辛淑玉によるゴシック大字のコメント解説があり、内実は辛淑玉の著述と言って良い。在日と二人によるタイトルから手にするには思わずたじろぐ著書でしたが、何とか読了。在日辛さんの糾弾、告発、懊悩振りは予想通りだったが、野中氏の差別撤廃のための特例制度の廃止活動の詳細を本書で初めて知りました。と言うとその差別実態よりも“似非活動”に目が向きがちな我々の傾向は実は別の意味での差別であるからです。たまたま「と三菱UFG銀行」を前後して読んでいたため、特にその感想を抱きました。その野中氏だったからこそ自民党首脳ながら沖縄への加害、贖罪意識が強かったのかと改めて理解出来ました。
辛さんがしばしば浴びせられた“そんなに帰化が嫌なら、帰ればいいじゃないか”という台詞は時に私が沖縄で“だったら、大島に帰ればいいじゃん”と言われたのを思い出しますが、冷やかし、からかいニュアンスに近い私への台詞と比べ、如何ほど辛かったことか。
私が知らなかった二人に共通する悩みは応援、理解者と思っていたそれぞれの身内との葛藤、苦悩の告白には差別被害よりも胸をひしがれ、打たれました。
辛さんの講演や文章には、いつも自問自答させられる部分が多々あります。
主婦のキャリアと、社会をつなげる事で、次の世代の子供たちが自分の将来に自信を持ってくれると信じて、日々活動していますが、なかなか企業人にそのあたりを理解してもらうことは難しく…。
みんな、自分と違う生い立ちや生活環境の人は、理解しよう、とか、したい、とか思わないんでしょうか…。
ほんとに世界中どこへいってもいろいろな差別があります。2年間米留しましたが、無関心派、関心派、差別派とおります。 仲の良いアメリカ人のルームメイトでさえ、癪にさわったりすると、私に”ジャブ”といっておりました。歳を取るとすべてに気にしなくなりました。又かっていう感じで、動じなくなりました。”慣れ”もいいような、悪いような。怒りの感情も抑えることもできるようになりましたし、減ってきました。何処に住むにも自分次第で快適にもなります。ただ、私は自分自身の経験からなに人であれ、他府県人であれ、同じように接することを心がけております。人間、なにかしらコンプレックスを持っておりますから、できるだけ、そういうことには触れないようにしているつもりですが。。。
”差別”は難しい問題ですネ。今度、その難しそうな本を読んでみたいと思います。