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「満天の星」;対馬丸事件取材班

2009年08月21日 | 「Weekly 読書感想」
満天の星―対馬丸 真実の証言
対馬丸事件取材班
文芸社

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 65年前の今日、8月21日はその2日後に撃沈される対馬丸が那覇を出向した日。昭和19年沖縄の学童疎開700人以上がとから列島、先頃皆既日食で有名になった悪石島沖で撃沈された悲劇事件。これまで遭難被害者の手記、告白記はいくつか発表、出版されたが本書はこれら既存の書とはいくつかの面で趣が異なり、読んで新たな衝撃を受けました。
 対馬丸遭難の背景には実は本土疎開を渋る学童達を必死で説得、勧誘、乗船させた教師達が何人かいたことを始めて知りました。
この教師達は本土防波堤として米軍を沖縄地上戦に引きずり込み、本土決戦の時間を稼ごうとした国や軍の方針に従った行動でしたが、勿論、そうした全島焦土作戦から学童達を救おうという純粋な動機も働いていたと思います。しかし、結果的には渋る学童を死に誘い、自らは生き延びたという事実から長く自責の念に苦しんだ人々がいたということです。
 さらに、学童を救ったとは言え、生き延びた海難に通暁した船員達もおり、 本書をこれまで語ることの少なかったこうした人達へのインタビューと告白が綴られています。本書を読むと生き延びた人々も死者に勝る苦しみと自責に苛まされ、改めて戦禍の悲劇の重さを知らされました。
 また、家族11人で乗船、両親、兄弟姉妹9人を失い、姉と二人きり生き延びた私の高校同期で対馬丸記念館の高良理事長が理事長に推され、就任した経緯も本書で初めて知りました。
 本書は生き残った船員の証言に衝撃を受けた本土在住の出版社の田中㈱ホップインターナショナル社長を中心に取材、編纂された記録書です。
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1 コメント

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わが家族も乗船するはずでした (高山厚子)
2009-08-23 08:50:31
対馬丸記念館創設の経緯を奥様の高良ミチ子様より、
お聞きしたことがございます。
是非、読みたいと思います。戦争の与えた心の重圧。決して風化させてはいけない、東京の学校で小中学生に沖縄の話をする時、その話をします。
実は、わが家族も乗船予定だったとか。たまたま、せがまれて順番を友人に譲り、友人家族が撃墜され、残ったわが家族でした・・・夜半に父の嗚咽を姉は何度も何度も聞いていたそうです・・まだまだある戦争の傷痕・・風化せてはいけない・・・そう思います。
本のこと広めたいと思います。
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