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呉 善花「スカートの風」;角川文庫

2006年07月29日 | 「Weekly 読書感想」
 いうまでも無く著者のデビュー作。平成9年の初版から16年までに9版を重ねる程の評判を呼んだ。ヨンさんブーム到来以前の著作。
「スカートの風」とはチマパラ、彼の国の“飛んでいる女性”をネガティブに指すらしい。あれ程反日感の強い韓国の女性が何故これほどまでに来日するのか、著者自身が自己分析するかのようにその背景・理由を説いて行く。一つには韓国社会の被い難い男尊女卑があるようだ。とくに彼の国で離婚した女性の行き方は在日差別と比較しても過酷らしい。
 書中、韓国出身ホステスのひたむきさを描いているが、かって私が2度程連れて行かれたキーセンバーの女性の印象は“ひたむき”と言うより手強く愛嬌一辺もなく、こちらをジロジロ値踏みする如く、あまりいい印象は残っていない。もっとも“ケチ重田”の別名がある如く、私の顔に“そんなにお金払えないよ”と書いてあったのを読み取られたのかもしれない。

 韓国にはない「なになにさせて頂きます」という日本語表現から両国の価値観と文化理解にアプローチする視点は新鮮で“外国人によって書かれた日本語文芸の貴重な財産“という作家・関川夏央の巻末解説には賛同する。何で2冊も3冊もこの著者本をと言われそうですが、何を隠そう連合いの払下げでした。
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-08-05 17:09:20
 多分、この本は自分では、手にとらなかった本だと思います。なぜなら、あまり韓国にというよりアジアに興味を持っていいからです。理屈では大切にしなければしなければいけない地域だと思いつつも。



 知らない事は恐ろしいを実感させる内容。日本における韓国ブームが男性の見掛けの良さから始まったと理解している私にとっては、韓国の差別を後押しする事になると感じられる。書かれてから16年、少しの変化はあったとしても、改善されたとは考えられずとても恐ろしい。社会を変えていくのは時代を超えるものだと思うから。



 プロローグに書かれていることの一つ一つが自分の心の軌跡のように思える。もちろん私は日本人であるから民族の違いというわけではなく、心の軌跡という意味である。



 自分に向かう涙は禁止していたつもりであるが涙が溢れることを止めることが出来なかった。

 私は彼女に見える日本の幸せの形(権力がなくても、経済力がなくても小さな家でも忙しく働きながらも日々を楽しむ事の出来る幸せ)を確実に創り上げ、日本でいう勝ち組みに入っていたと思う。それを捨てさせたものものは何か。自分のなかにある自分本来のものを出し切れてないもやもや、それを出させないとする周りの人たち、自分を生ききっていない焦燥感が日々大きくなっていったからだと思う。



 たとえ自分の考える生き方が実現しなくても、それに向かって努力している自分のままで死ねたら自分を許せると思う。それが端から見てどうであれ。 とても学ばされる所の多い作品でした。

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