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”朝吼夕嘆・晴走雨読”

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草柳大蔵「実録 満鉄調査部 上・下」(朝日新聞社)

2003年12月08日 | 「Weekly 読書感想」
(写真:昭和12年23歳の亡父:後列右から3人目)

 学生時代、「朝日ジャーナル」を待ちかねるように読んだ連載の上製版。私の満州もの蔵書の一冊。

 大正リベラリズムの洗礼を受けた昭和初期の革新官僚達が、日本国内の制約を避けて満州に渡り、満鉄調査部に謂集したのは有名な話。当時の満鉄調査部は、当時の日本のシンクタンクのハシリと言ってもいいほどで、後の日共細胞も輩出した。
 稲嶺沖縄県知事の父君である、若き日の稲嶺一郎元参議員や、俳優の森繁久弥達も、希望の大陸に渡り「南満州鉄道株式会社」に就職した。

 「鹿児島45連隊」を退役した私の父も、それなりに希望を抱き、従姉の連れ合いを頼って渡満、満鉄本体は叶わず、傍系の「大連都市交通社」に就職した。

 恐らく父は、自分が就職した会社の国策親会社がこうした理念と頭脳をもっていたことは、遂に理解しなかったろう。

 当時の満鉄調査部に、後の第二次大戦後の占領下の日本で、GHQの少壮革新学者が自分達の理念の実現を試みた姿が、二重写しに見えた。

 本書は極めて政治経済的満州ものだが、ドキュメンタリとしては富永孝子「大連・空白の六百日─戦後、そこで何が起こったか」。詩情豊かな清岡卓行の「アカシヤの大連」。最近ではなかにし礼の「赤い月」か。
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