”朝吼夕嘆・晴走雨読”

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「母の問わず語り」

2017年12月23日 | 「Weekly 読書感想」

                                              
 本書はかつてキネマ旬報で歴代邦画NO1と評された鈴木清順監督「ツィゴイネルワイゼン」で準主役を演じ、新人助演女優賞にもノミネートされた真喜志きさ子さんによる御母堂・沖縄の宝塚とも言われた「乙姫劇団」副団長・男役スターの上間初枝さんの追悼記。沖縄の花柳界「辻遊郭」(ハナヌシマ)出身の母堂ストーリはさながら琉球文化史の一面。ジュリ、チージ、娼妓、芸妓、酌婦、ナシンチャー、抱女、抱母(アンマー)、俗敷(ジュクシチ)、水揚げ等々の辻文化?を表すフレーズの羅列には尋常ならざる著者の文芸語彙力を感じます。
 昭和23年、乙姫劇団は奄美大島に公演来島したと書かれていますが、当時奄美・古仁屋小学校2年在籍の私は古仁屋の「朝日館」劇場に琉球女性舞踊団の来演で島中湧いていたのを微かに覚えています。また1997年、今は無い文京区千石の「三百人劇場」で“乙姫劇団50周年”東京記念講演の際、主演の上間初枝さんに花束を差し上げたことや御尊父・真喜志康忠さんと3人で語り合ったことも覚えています。もう一つの逸話は上間初枝さんのお母さん・著者の祖母が私と同じ奄美・加計呂麻出身でその故郷の秋徳村を訪ねた際、村長さんから、出稼ぎ渡航した大阪で、沖縄の男性と巡り合い結婚、沖縄に行った島娘の話を聞き、驚いた記憶等々が錯綜。累々の辻用語、人名に困惑、ページを捲る度に吐息しつつ、気が付けばアッという間の読了でした。
                                                
          (著者・真喜志きさ子さんと生前のご母堂・上間初枝さんと~2007年那覇・旭橋で) 

 

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