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吉成直樹・福寛美「琉球王国誕生」;森話社

2009年03月04日 | 「Weekly 読書感想」
琉球王国誕生―奄美諸島史から (叢書・文化学の越境)
吉成 直樹,福 寛美
森話社

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“奄美諸島史から”という副題が付いているように、最近の奄美地域に於けるヤコウ貝等考古学研究の成果を「おもろそうし」等の文献学で考証する法政大・沖縄研究所成果、従来の沖縄本島中心の琉球史観に大胆な疑問と問題提議をしたエキサイティングな労作。
 例えば北・中・南の三山史観には印欧語族の“三機能体系”イデオロギーの影響。琉球王家のシンボルである三巴紋は倭寇の守護神である八幡神と類似であること。沖縄地名の“胡屋、呉屋、越来、ガーラ”等は倭寇の「グラル」由来ではないか。ノロは古代朝鮮語のノレ(謡う)ノリ(遊ぶ)に、ユタはヌタ(言葉)に由来する。沖縄に於ける著名な「安里」地名に朝鮮半島との関わりを想定できること。
 三山史の虚構性と尚氏の倭寇出自説、奄美地方に重心があった古代琉球等々300ページを超す学術書ながら、あたかも推理小説を読むような興奮と興味で読了しました。
 かと言って、倭寇を現在の朝鮮、中国、日本等の国境概念で捉えたり、琉球尚氏の倭寇出自や大和朝廷・天皇家の大陸・朝鮮半島出自等不毛な民族ルーツ論や起源論に一喜一憂すのは我ながら国民国家イデオロギー・フィクションに振り廻されるようで頂けないか。

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