旅立ちの時(1988年 映画)

2024-06-28 00:00:45 | 映画・演劇・Video
『旅立ちの〇』という映画はいくつかあり、主人公がなんらかのグループを離れて違う生活を始めるというパターンが多いのだが、本作は、そう簡単な話ではない。主人公の青年がどこかに行くというより所属していたグループの方がどこかにいくわけだ。

なぜ、そんな転倒的展開かというと、青年の父母は十数年前は反政府的なテロリストで、工場爆破の時、無関係の第三者を失明させてしまい、FBIの指名手配者だった。そのため、捜査の手が近づいてきた感じを察すると、すぐに高跳びし名前も変えてしまう。秘密を抱えたままの青年は、ある土地でピアノの腕前を高校の音楽教師に知られ、ジュリアード音楽院へ推薦されることになったが、そうなると、父母は逮捕される確率が高まるわけだ。

さらに音楽教師の娘との恋愛が始まり、さらに事態が複雑化する。このあたりは「逃げる者シリーズ」の実話集のようになる・

そして、身近に現れた元同志が銀行強盗に失敗し射殺されるに至り、逮捕の危険が迫ることを怖れ、またも一家で町を脱出することになるのだが、彼だけは町に残るわけだ。

だから旅立ちするのは逃亡者夫妻の方だ。主人公目線でいうと、旅立たない時ということになる。

なお、主演のリヴァー・フェニックスは、この映画の2年前の『スタン・バイ・ミー』の中心人物をも演じていて、期待の星であったが23歳が薬物中毒による旅立ちの時になってしまう。弟のホアキン・フェニックスは息子にリヴアーと名前を付けている。