狂乱の駐車違反ビジネス

2005-09-22 21:53:47 | マーケティング
77143424.jpg9月になって、がぜん盛り上がってきたビジネスがある。「駐車違反取締り民間代行関連」である。実は、道路交通法を改正(?)し、駐車違反のクルマにシールを貼る仕事を警察が行うのでなく、民間会社に委託しようということで、来年2006年6月までに民間委託が開始される。余剰になった交通警察官が何の仕事をするかははっきりしないが、その件は省略。

これに伴って、まず、「駐車監視員」なる資格が登場。既に全国10,000人以上が資格を取得している。次に始まるのが、民間会社による業務入札だが、9月に全国で入札事前説明会が開催中である。入札の概要を見る限り、警察に人間を貸出し、労務費見合いの金額を警察から授受するという方式のようだ。したがって、1台上げたらいくらの報酬、というノルマ制(歩合制)ということはなさそうだ。(ホッ)

ところで、巷では、今はチョークを引いてから30分たってもとの場所にクルマがあると違反と認定されているのが、監視員が巡回中にみつけた違反車は猶予なく直ちに捕獲するとの情報が飛び交っているのだが、実際にはどうなのだろうかというと、これがあいまいなのだ。

まず、監視員が駐車中の違反車を見つけると、まずデジカメで写真を写し、データを携帯端末に入力し、本部のシステムへ送信するそうだ。そうするとシステムに登録され、その後、再度写真を撮影し、端末機から出力された違反証をクルマに貼り付けるということになるそうだ。そして問題はこの本部のシステムとの往復所要時間なのだが、ある県での入札説明会でのQ&Aを読むと、「取締りの詳細は、後で説明します」というような逃げが入っていた。確かに、システムで扱う以上、東京は10分で大阪が20分までOKとかは難しいだろうし、逆に何分とか公表すると、その時間は駐車していいことになる・・

そして、この話の複雑な点はいくつかあるのだが、まず必要な台数分の駐車場があるのか、ということだ。それも必要な場所にだ。警視庁が発表している都内瞬間駐車台数は約14万台で内11万台が違法駐車だろうとなっている。3万台は5分以内の荷卸(宅配便含む)とかなのだろう。しかし、違法駐車マップを見ると、千代田区の神田・秋葉原地区が最悪になっているように見えるが、それはそこに駐車場がないからなのだろう。だいたい、どこを取り締まるかとかいう問題も警察の中の閉鎖的組織で決めていたものをオープンにするということなのだろうか。規定では、あくまでも業者の方が数日前に監視計画を警察に提出し、日報及び月間報告書を警察に提出することになっていて、あれこれ警察から指示はないように書いてあるのだが・・・

次に複雑なのは、実際にビシビシと徹底的に取り締まると、駐車違反そのものがハイリスクとなり、路上から違反車がいなくなることが考えられる。現在でも札幌に行ったら、「駐車即取締り」なので駐車違反がほとんどないそうだ。つまり、厳しくすると、駐車違反がなくなり、「違反車取締り」というビジネスそのものが不要になるということになる。かといって、手を抜いて時々取り締まるようになると「不公平」の声が上がるのは目に見えている。

結局、やってみなければわからないということかもしれないし、法律改正をあてにして、あちこちに駐車場を拡大している駐車場専業会社やそのニワカ株主の思惑通りになるのか、あるいは別角度で地下鉄の利用者が増えるということになるのか、あるいは都心のデパートの売上げがさらに落ち込むというのか、予想は困難だ。すべては、その施行細則が明らかになった時に決着がつくのだろう。

ところで、早くも勇み足があったのだ。この端末から上がってきた情報を処理するシステムの一部である「標準仕様書策定システム」の入札で不当廉売があったそうだ。1番札の松下が何と4万円。2番札日立398万円。3番札NTTデータ865万円。4番手三菱電機1億4700万円。1番と2番の金額が奇妙だ。