成金

2010-04-28 00:00:27 | 市民A
『成金』というコトバは、将棋で「歩」が敵陣に入ると「と金」になることに依るのは自明なのだが、「と金」が相手に取られ、持駒として駒台に乗せられる時には、ただの「歩」に逆戻りする。本物の『成金』とは、単にお金持ちになるだけじゃなく、再び元の貧乏に戻ることを意味するのかもしれない。

『ホリエモン』の話?



いや、アメリカでの話である。1848年。

サンフランシスコのフットボールのチームに、『フォーティーナイナーズ』がある。1848年にカリフォルニアに金が発見され、翌1849年に、この地に全国から人々が殺到した。ゴールドラッシュである。チームの名は、この49年に因んでいる。

しかしゴールドラッシュで集まったのは、フットボールの選手の数どころじゃない。人口1万5千のカリフォルニアが1850年には9万人、52年には26万人なった。ヨーロッパや中国からの移住者も多かった。

つまり、この時、世界中で、人口の大移動が起きたわけだ。

何しろ、米国は、このカリフォルニアを獲得するため、米墨戦争(1846年~1848年)を行っている。その時、タダで手に入れたのではなく、1500万ドルを支払ったのだが、僅か数年で取り戻した計算になる。ロシアからはアラスカを720万ドルで買い取る。(その後、カリフォルニアの金が掘り尽くされた頃、アラスカで金鉱が発見され、アラスカがゴールドラッシュになる)

さらに、太平洋を渡って、日本や琉球に脅迫外交を申し入れる。「英国にアヘン漬けにされた中国を見よ!」というわけだ。正義の味方のフリ。

しかし、リンカーンが大統領になると、一転して、国内対立が激化して南北戦争になる。南北戦争が終わると、要らなくなった中古武器を世界中に売りさばいたので、あちこちで紛争が起きる。

米国内では戦後不況となり、公共事業として大陸横断鉄道が何本も敷設される。ちょうど発明されて日が浅いダイナマイトが、ロッキー山脈の難工事に使われる。

欧州権益の方ではスエズ運河の建設にダイナマイトが多用されている。世界がつながった時期だ。

たまたま、日本では江戸の長期安定政権が崩壊。気短かな明治政府が政権を担当したのだが、政権交代に失敗して短命政権に終わる鳩山内閣の二の舞にならないように欧米に視察団を送る。横浜から太平洋をわたりサンフランシスコへ。そして大陸横断鉄道で東海岸に到達。そこから大西洋を欧州に渡り、日本に帰る時にはスエズ運河を使っている。


そして、この巨大ムーブメントの一つのキッカケを作ったのが、ジョン・オーガスト・サッターという人物。スイスからの移民で、サンフランシスコのサクラメント川に面した場所で堅実に製材業を営んでいた。

が、・・

幸か不幸か、彼は自分の水車小屋で、川を流れる「砂金」を見つけてしまったわけだ。金は人間をアニマルに変える。

当時のアメリカでは、資源はすべて発見者のもの。つまり、「取り放題」。みんなが川に入って砂金探しを始めたわけだ。

結局、サッターは、金を発見しただけで、その権利は認められず、大金持ちになりそこねた。そして、没落し、失意のうちに世を去ることになる。失意のうちに去るなら早い方が本人のためだろうが、あいにく長生きする。


まあ、金持ちになって幸せな人生を送っていたら、歴史には名前を残さなかっただろうし、ギャンブルにつぎ込んだかもしれない。あきらめよう。


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