行き先不明のギリシア丸の航海

2010-04-27 00:00:48 | 市民A
ギリシアが国債価格の急騰により、ついに自力再建をギブアップ。IMFとEUから都合5兆円の融資を受けることになった。5兆円のうち、EUからは3.8兆円で、内1兆円がドイツからだ。

ただし、援助をもらったのではく、単なる融資であるから、そんなに嬉しくもないだろう。




欧州系のテレビ局のニュースを見ていて驚いたのは、緊急融資をお願いした日のパパンドレウ首相が、どこかのリゾート地からの放送で、スーツではなく、ブレザーで登場し、ギリシア神話を引き合いにして国民に演説を行っていた。ギリシア神話の多くは、苦難の放浪と、そこからの帰還である、とか。

神話か・・

たった5兆円といっても、そのうち1兆円強は過去の国債の償還ができなくなったから。ということは、現在発行を続けている国債の償還も、次々と困難になるのではないかと思える。

JALみたいな話だ。


しかし、ギリシアは、デモクラシーの原点である。それが災いしたのか、一方で、国民の権利への要求は厳しい。年金の受給年限引き上げに対してゼネストである。

といっても、公務員なら、58歳になると現役の収入の8割も支給されるわけだ。ドイツでは年齢を65歳受給を67歳受給に引き揚げた(給付水準は7割維持)。日本は3割か4割しかもらえないのだから、論外といえるが。


さらにギリシアが他国から嫌われているのは、国内に存在する『第二経済』。

海運事業者などが対象で、経済活動に税金がかけられない。

知る人は知るが、香港と並ぶ船舶オーナーの天国である。特に世界の中古船を買い集め、パナマなどに便宜置籍船として登録し、英米系はじめ世界の大手海運業者に運航を委託する。

金持ちがますます金持ちになる仕組みだ。

この税制優遇措置は海運業者だけでなく、それらの仕事を行う弁護士や仲介業者や保険会社や、数多く恩恵を受けている。

つまり、ギリシアには、「税金を払わないグループ」と「年金をもらいすぎる公務員」という問題があり、それらが拡大しているのに、財政破綻に瀕している、ということだ。

どうすれば、解決できるか。

答えはゼウスが知っている、と首相は言うだろうか。


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