フジフィルム・フォトコレクション展101

2017-04-16 00:00:19 | 美術館・博物館・工芸品
東京ミッドタウン内にあるフジフィルム・スクエアで開催されていた『フジフィルム・フォトコレクション展101』へ。フィルム業界では世界第二位だったのは、遠く遥かな昔のような気がするが、20年位前だったのだろうか。「写真」という表現手段は1840年頃に完成して、いまでも人間は言葉で書かれたニュースだけでは理解することができず、写真や映像を必要とする。

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思えば、フィルムというのは写真の歴史の中ではそれほど長い期間活躍したわけではなく、元々はスパイ用だったはずだ。

ということで20世紀の日本の写真家の記録を一人1枚で101人分集めたコレクションが展示されていた。

大御所である秋山庄太郎や土門拳に始まり、篠山紀信・木村伊兵衛他だ。

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個人的には、たまたま何回か個展を見た石内都の作品が好みなのだが、本展で取り上げられている中では、まず木村伊兵衛の「秋田おばこ 秋田・大曲(1953年)」。被写体が雪国の美女だ。日本を写すということが、こういう表現になるのだろう。庶民の歴史を写すこと。一枚の写真で古来からの日本を表現。

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そして、有名なシリーズだが、林忠彦の「文士シリーズ」の中の一枚。「太宰治 1946年」だ。戦後すぐの撮影で、戦争からの開放感にあふれている。ところが作家太宰はほとんどの作品を終戦前に書いていて、終戦で心の解放を味わったはず。銀座のバーで嬉しそうによっている感じがいい。

ところが、作家としての太宰は戦後約2年間立派な仕事ができていない。この写真の翌年に「斜陽」を書き、さらに次の年に「人間失格」を書き、自殺した。1946年は作家太宰の頂点にある年だった。


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