他国のパイプラインを評論している場合じゃないのですが

2017-04-26 00:00:21 | 市民A
経済制裁の一環で、中朝パイプラインで送られている原油の供給ストップを中国がちらつかせている。実は中国北東部の原油はLPP原油といって蝋分が多い低流動点(low pour point)原油で、常温では固体なので摂氏80度以上に加熱して移送している。

問題は、供給をゼロにすると配管の中で原油がコチコチに固まってしまい、復活するのはかなり難しくなる。裏返して考えれば、原油を止めると簡単には復活できないのだから、味方というより敵になったということになる。第二次大戦の日本も米国からの石油禁輸をくらい、満州の原油とインドネシアの原油に手を伸ばしたことから攻撃主義が始まったわけだ。

で、他国の話はここまでにして、本当は日本の石油の備蓄が大変なことになるはずなのだが、多くの人は気づいていないわけだし、少数の知っている人は怖くて言えない、というのではないだろうか。

まず、日本近海でミサイル撃ち合いになると、どうなるかというと、原油タンカーは日本に入ってこられなく可能性が高いわけだ。なにしろ危険だし、船体や原油にかける保険は急騰する。しかも船員保護の観点から、外国船の船会社は配船回避をするし、日系の会社(ほとんどが便宜置籍船)にしても海員組合が船員引揚指示を出すと思われる。湾岸戦争の時はそうだった。

しかし、日本には石油備蓄が200日分ほどあるはずということになるが、これが製油所からかなり離れた場所にある。そして貯めてあるものの多くは原油であって石油精製前だ。

数字で言うと、約200日分の備蓄の中で、原油ではなく石油製品は45~50日分。といっても1.5か月は大丈夫だろうと思うのは間違いで、この数字は単なる通常のランニング在庫なのである。製油所内のタンクや中継油槽所のタンクである。ガソリンスタンドのタンクには5日分ぐらいはあるだろうが、基本的には備蓄はすべて原油であるということ。

しかも、日本海側には、現在は製油所がなく、太平洋側の製油所で生成されたガソリンや灯油や軽油は小型タンカーで日本海側の油槽所に送られるのだが、当然ながら日本海には機雷が漂流していて航行不能のはず。

ということは、製油所に原油タンカーが入らないとすぐに在庫がなくなってギブアップということになりかねないのだが。

どうしよう・・

どうして、こんなに脆弱化というと、そもそも日本が考えていた石油危機はペルシャ湾(アラビア湾ともいう)のホルムズ海峡が封鎖された時のことで、原油が来ないで製油所が動かなくなるシナリオで、原油はあっても製油所に届けられないという事態はすっかり失念していたようだ。


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