海賊の掟(山田吉彦著)

2011-09-05 00:00:48 | 書評
本書は、書名が「海賊の掟」とあるが、海賊の仲間内のルールにすべてのページを費やしているわけではなく、それについては、全体の1%程度の記載に過ぎない。

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船長の分け前(利益の配分比率)の取り決めや、死刑の規定や、脱走しようとしたものは、孤島に置き去りとか、そういうルールであるが、もちろん、捕まった場合は、国家のルールが待っていて、たいてい縛り首になって、ロンドンブリッジから吊るされたりする。さらにタールをかけられ、簡単に腐敗しないようにされたりする。(その後、どうなるかは、よくわからない)

そして、海賊というのは、世界中に存在するのだが、もっとも有名なのが、バイキングで、その末裔が英国人で、その後継者が米国人である。芝居の途中で現れたコロンブス他のイスパニア系は、一応、西インド諸島で交易のまねごとをしたが、メイフラワー号の乗客は、無一文で渡米し、陸上バイキングをやった。

本書に書かれていないことばかり書くのも気が引けるので、戻ると、「現代の海賊」と「過去の有名海賊列伝」と「日本の海賊」に分かれている。

現代の海賊で有名なのがマラッカ海峡パターンとソマリア沖パターン。それぞれ、理由は異なる。そして、過去の海賊については、歴史を書いているわけで、どちらかというと海賊を魅力的に扱っている。

海賊列伝では、地中海時代から続く海賊文化に触れた後、キャプテン・キッドや黒ひげ、メアリーとアンの女海賊を魅力的に描く。1720年代に活躍したアン・ボニー。愛人と一緒に略奪活動を続けた後、ついに捕まったのだが、妊娠していたため、処刑をまぬがれ、その後、脱走。行方はわからないままになっているそうだ。

そして、日本の海賊の特徴だが、言うまでもなく歴史の中で大きな役割を果たしている(あまりいい意味じゃないけど)。彼らをうまく利用したものが、結局は政権を獲得したことになっている。藤原純友、倭寇、村上水軍、小田原攻めの時の毛利水軍など。

そして、最終的には秀吉による懐柔策により、日本海賊史は幕を閉じることになった。


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