新潮社の月刊書評誌『波』に長々と連載が続けられていたが、ついに完結した。毎月の分量(原稿用紙30枚分程度)を3年だと1080枚。3年より長いような気もするが確認できない。
それで著者の方針は、「作品論」ではなく「作者論」。永井荷風と他者の関係を負いながら、彼の行動から、当時の荷風が何を考えて行動したかを書いている。あるいは、荷風が後世に記録を残したくないような取材と称した遊郭通いを暴いていたりする。
疎開先でのできごとまでしっかり書かれているので、調査は相当深いのだろうとはわかるが、作品論の方を読みたかったのが本音。
作家の立場だって、世の中との接点は作品という形だけにしたいはず。
来月号からは、この空いた10ページに何を詰めるのだろう。
ところで、これから単行本として発刊されるそうだが、タイトルは「荷風の昭和」のままなのだろうか。半藤一利氏の著に『荷風さんの昭和』とか『永井荷風の昭和』という著がある。
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