紫式部追跡(7)

2024-03-25 00:00:15 | 歴史
今回は、紫式部のパワースポットの話。紫式部の時代、多くの女流作家が物語や日記を書いている。その頃、彼らの日常の中に、観光というか息抜きというか寺社巡りがあった。



考えてみれば、江戸時代に下っても江戸っ子たちは、近くは伊勢原の大山詣とか、お伊勢参りとか旅行に出ていった。平安時代でも同じだし、その足跡を追随しようと1000年も経ってから京都の寺社をウロウロする私とて同じようなものだ。



そこで登場するのが、下賀茂神社と上鴨神社。



創建の年もわからないほど古い神社だが。上賀茂神社(賀茂別雷神社)は雷大神を祀っていることからいって、「天」を祀り、下鴨神社は「神」を祀っているということからして、京都市内からより遠い上賀茂神社の方が霊感度が高いということだと思う。



紫式部は石山神社に7日留まって源氏物語の中段部分の構想を書いたと伝わっていることから、54帖もの長編「源氏物語」を書くにあたっては、何度もパワーチャージするために上賀茂神社に行ったとされている。距離からして、上賀茂神社参拝は1日仕事で下鴨神社は半日仕事といったところだろうか。彼女たちの残した日記にも葵祭が登場するが、両社共同の祭りである。



源氏物語の中で、感じているのだが、夜の描写がすばらしいと思っている。平安時代なら昼と夜とは全く違う世界だっただろうし、陽の下の世界と月光の中の秘め事。現世と妖怪。そして男と女。