時代を生きた女たち(植松三十里著)

2024-03-04 00:00:00 | 書評
少し前に朝日新聞と一緒に届けられた「定年時代」というタブロイドに歴史小説家「植松三十里」氏のことが書かれていた。新刊『富山売薬薩摩組』という歴史の裏側を記した書のことを中心に、女史が歴史に埋もれている事実や人物を発掘するのが得意ということが書かれていた。

今まで読んだことはなかったが、いかにも面白そうではないだろうか。そもそも既存の歴史話は知っているし、ネットで見れば一応わかるわけだが、たいてい満足できない。



ということで、何から読もうかと思いついたのが図書館の電子書籍。といってもこの一冊だけが利用可能だった。自分に合う文体なのかとか押し付けがましい書き方は嫌いだなとか電子書籍で確認してから色々と読もうかなといったところ。

確かに、とりあげられた女性は35人。したがって一人ずつのページ数はそう多くなく人生の概略とか活躍した時期に特定して綿密に書かれている。

第一章 チャレンジした女たち
第二章 愛に生きた女たち
第三章 運命を受け入れた女たち
第四章 家族を支えた女たち
第五章 人のために生きた女たち
第六章 日本ゆかりの女たち



35人中20人は知らなかった。明治から昭和前期にかけての女性が主に取り上げられている。不幸を克服して何かを成し遂げた人が多いということがわかる。長谷川町子さんのことでは、やはり漫画の第一作が大量返本されたということが書かれていた。長谷川町子美術館では第一作の返本の話は「なかったこと」にされている。

それで、35人もの女性史を調べているということは、それらを主人公とした歴史小説を書くためなのだろうが最新書『イザベル・バードと侍ボーイ』の主人公のイザベル・バードも2014年の本書の第六章に取り上げられている。10年経ってから完成。まだ、ほとんどが書かれていないことになる。特に「人見絹枝」の本を期待している。