鬼怒川に江戸が

2021-07-29 00:00:18 | たび
『日光江戸村』というのが『江戸ワンダーランド』となったらしい。そもそも日光と江戸とは徳川家康を大権現とする東照宮という太い絆があったのだが、新しい呼称は、明らかに外国人用だろうか。改名前から日光(鬼怒川)が江戸(東京)の一部と思っていた日本人はいないだろう。



ところが、現在、外国人観光客はみかけなかった。かわりに大集団がいたのが小学生の団体旅行。日帰りだろうか北関東数県のナンバーの観光バスが駐車場に並び、忍者屋敷の迷路の中は小学生でごった返しになっている。あまりワクチン接種年齢の方は見られない。せっかく接種したからといって、都内に繰り出しているのだろうか。

初めて江戸時代に行ったのだが、時代劇などで知っている江戸の町の感じがよく出ているような気がした。実際にはもっと狭いのだろう。長屋住まいの庶民にとって、住宅の最低単位は九寸二間といって、いわゆる六畳のサイズ。1DKだ。といっても、今でも六畳に住んでいる人もいるのだから、なんとかなるのかもしれない。

施設の大部分は娯楽施設なので、すっかり江戸人になりたい方は、入ってすぐに貸衣装があり、殿様でも、新選組でも、姫君でも、悪徳商人でも3000円以上で着替えられる。熟考したが、先祖は農民なので、百姓服があるかと探したがなかった。忍者服もなかったような気がする。何しろ、村内にはすでに忍者がいるわけだ。



オプション料金払わなくてもいくつかのショーが楽しめる。まず水芸。女流水芸師が扇子をかざせば、あちこちから水が噴き出すわけだ。江戸っぽい。



さらに花魁ショー。もっとも、舞台で三人で踊り、観客から選ばれた男性を大旦那に見立て、狐拳といわれる「じゃんけん」で遊ぶ。(きつね、庄屋、猟師の三すくみ)それ以上はなし。



そして、大岡越前。南町奉行所で評定が行われるが、刑法違反で打首とか火炙りの実演があるわけではなく(他の日は知らないが)、当日は川船転覆に伴う積荷補償というマニアックな評定が行われる。転覆時の実演が行われるのだが、にわかに空がかき曇り、雷交じりの大豪雨に襲われることになり、出演者は巧まずしてずぶ濡れの迫真演技になってしまった。

忍者ショーは忍者同士の殺戮ショーで暗闇の中で行われるため撮影は禁止だが、迫力がある。刃こぼれした刀や、たまたま失敗した忍者が飛んでくるのではないかと緊迫の時間を楽しめる。



一つ感じたのが、この村にランドマークがないこと。あえていうとミニチュア版の「日本橋」。両国の江戸東京博物館内の日本橋は立派だが、ここの橋はちょっとスケールで見劣りする。スカイツリーに投資した東武グループなのだから、ここには、待望久しいアレを作ってほしい。

江戸城大天守閣。