誰も知らない(2004年 映画)

2021-07-21 00:00:20 | 映画・演劇・Video
是枝祐和監督による映画。父親の違う4人の兄弟姉妹と母親は、母と長男だけの一時的母子家庭(夫は海外赴任中と嘘をついている)ということでアパートを借りたが、実際には他の子はカルロス・ゴーンのようにスーツケースの中に隠れてアパートに運び込む。したがって、外には出られない。

母は昼間は働き、長男は3人の弟妹の面倒をみているが、いつの間に母親は愛人を作り、失踪してしまう。困った長男は、それぞれ複数の父親から集金するが、たいした金額にならない。

そして、奇妙な生活に不登校の女子中学生が加わる。

ストーリーはさらに重くなっていき、ついに一人がなくなり、羽田空港の近くに穴を掘って、印象的な埋葬シーンになる。

長男を演じた柳楽優弥は14歳にして、カンヌ映画祭の主演男優賞を受賞する。

是枝監督は、その後カンヌでは、「そして父になる」で審査員賞、「万引き家族」でパルム・ドールを受賞。本作と「万引き家族」は同じような日本の貧困を描いた映画だが、「万引き」の方は、日常的に犯罪行為を行うことで生活しているのに対し、本作は「法律違反を避けようとする」努力は続けているわけで、やや明るい話と思えるのだが、後で調べると、ほぼ同じストーリーは1988年に実際にあった『巣鴨子供置き去り事件』が下敷きになっていることを知り、愕然としてしまう。