バニー・レークは行方不明(1966年 映画)

2021-07-13 00:00:52 | 映画・演劇・Video
誘拐事件があったのに、実際はなかったかのように警察に思わせて何らかの目的を達成しようという筋の映画だ。有名なのはフライトプラン(ジョディフォスター主演)。ジャンボ機の中という限定的な場所で実行される。目的は「お金」。それとバルカン超特急(ヒッチコック監督)こちらはスパイ。3作の中で本作が一番過去に作られているので、盗作疑惑の対象にはならない。


『バニー・レークは行方不明』はもっと生臭い話なのだが、そういうことは最後にわかる。アメリカからロンドンに到着し、4歳の娘(バニー)を保育園に預けたシングル・マザーのアン・レイクは迎えに行ったときに娘がいなくなっていることに気付き、大騒ぎとなる。警察が捜査を始めるが、なんとなく怪しい人物がたくさんいて捜査は難航する。なにしろ、目撃者がいない。動機も不明。

そもそもバニー・レイクが存在しているかどうか、観ている側も疑問に思いはじめる。バニーの姿は最初からスクリーンに登場していない。

もし、『バルカン超特急』や『フライトプラン』を観てから本作を観た人は、「ああ、あのパターンかな」と思うかもしれない(私もそうだが)。ただ、二作とも本作が劇場公開された時にはまだ実在していないのだ。果たして、バニーは実在なのか、非現実なのか。

しかし、ロンドンを舞台にした映画で、奇妙で怪しいイギリス人が男女次々に登場するのだが、真犯人は米国人ということ。

例えていうと、日本の監督がソウル市を舞台として誘拐事件を題材とした映画を創り、多くの怪しい韓国人を登場させたあげく、「犯人は日本人だった」というストーリーにしたようなものだ。

もっとも欧州で作られる映画に登場するアメリカ人は、「調子のいいセールスマン」というのが常だし、そもそも独立戦争を戦った相手であるわけだ。しかも第二次大戦の時は、英国がロケット攻撃で苦境に立たされた時にも、すぐには助けにこないで、結局アメリカは、真珠湾攻撃の時に日本とドイツと戦うことにしたわけだ。真珠湾攻撃をしなければ米国の支援があったかどうかすら不明だ。