明智光秀(早乙女貢著)

2021-07-14 00:00:30 | 書評
歴史小説家の手になる明智光秀の一生を描いた小説。



一般に、歴史の中の悪役というのがあって、その最たるものが明智光秀とされている。というのも戦国時代から平和の時代(江戸時代)に移行したのは信長+秀吉+家康という三傑とされ、邪魔をしたのが光秀であり、勝家であり、石田三成ということになる。

それも主君に逆らって、無防備な深夜に寺を囲んで焼き殺してしまった。

とはいえ、焼き殺すのは信長の得意技だし、城を囲んで飢え死にさせるのは秀吉の得意技。家康は自己愛が強すぎて、魅力は少ない。

信長の手口はヒットラーそのもの、安土城に天皇を住まわせて、自分の意のままに操ろうと考えていたし、秀吉は天皇に北京に移住してもらおうとしていた。

早乙女貢著の明智光秀は、努力型の秀才としての政治家として書かれている。菅義偉氏のようなタイプをイメージする。

悪いところはどこにもない人情家。ただ、国家観は希薄。

年齢的には信長より年上であったことから、反乱しなくても追い落とされることが
わかっていたのだろうから、チャンスを狙っていたのは確かだろう。


考えてみれば、悪漢といわれるものほど魅力的というのが世の常。

松永久秀とか三好長慶とか、井伊直弼とか悪役を主人公とした歴史小説を漁ってみようかな。