道(1954年 映画)

2020-03-18 00:00:44 | 映画・演劇・Video
フェデリコ・フェリーニ監督の映画は大部分を観ていたと思っていたが、実際には半分も観ていない。『道』は、イタリアのいつ頃の時代なのだろう。なにしろ貧しい海辺の村から少女が旅芸人に買われていく。旅芸人と言っても、一座ではなく一人芸。怪力男(アンソニー・クイン)が上半身裸になり体に巻き付けた鎖を引きちぎるといった、ごく初歩的な見世物。その怪力男の助手として、音楽をやったりコントをやったりピエロになるのが、少女の仕事なのだが、この怪力男が、まるでダメ人間。



旅先では問題ばかり起こし、いい女がいればすぐに口説き始める。二人は、片方がいなくなったり逃げ出したりと、気持ちを交錯させながら互いに消耗していくのだが、ついに男が仇敵を殴り殺したところで、関係を解消する、というか離れ離れになる。

数年後、怪力男がサーカス団に加わって巡業中に、道端で彼女が得意だった曲のメロディを耳にする。曲の由来を尋ねると、数年前に棲みついた少女が歌っていた曲だという。その少女の消息を聞けば、既に亡くなったという答えが返ってきたわけだ。

なお、少女(ジェルソミーナ)を演じるのは、ジュリエッタ・マシーナ。フェリーニの妻である。1920年生まれなので今年が生誕100年。少女役なのだが、計算すると映画に出演したのは34歳。そうは見えないのが不思議だ。監督の後を追うように1994年に他界している。

ところで、昔の知人の話を聞いて消息を尋ねると、すでに亡くなっていた、というのは日本文学の古典にもあったような気がするが、特定できない。